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100%子法人等とは?税制に関して注意する点は?

HUPRO 編集部
100%子法人等とは?税制に関して注意する点は?

中小法人については、その資金調達能力や事業規模を勘案して、税務上、様々な優遇制度が設けられています。しかし、資本金の額が5億円以上の大法人によって完全支配されている普通法人は中小企業向け特例措置の適用を受けることができないことになりました。今回は、この100%子法人等について解説していきます。

政策的措置が取られない理由は?

資本金の額又は出資金の額が5億円以上の大法人によって完全に支配されている、いわゆる100%子会社は、一般の個人による中小企業とは資金調達能力や事業規模の状況が全く異なると言えるでしょう。そのような100%子会社に対しても政策的措置を取っていると、機会の平等性が担保されないといった懸念から、平成22年度税制改正より、大法人の100%子法人による中小企業向け特例措置の適用の見直しが行われました。

優遇される中小法人とは?

そもそも、いわゆる中小法人とはどのような会社でしょうか。それは、期末の資本金の額が1億円以下の法人で、資本金の額が5億円以上の大法人による完全支配関係がない法人のことです。これらに該当すると、普通法人の各事業年度の所得の金額のうち、年800万円以下の金額に対する法人税に軽減税率が適用されるなど、有利な政策が多く設けられているのです。

どのような会社が100%子法人等にあたるのか?

では、その中小法人から、制度上除外されることとなった100%子法人等とは、どのような会社でしょうか。資本金の額又は出資金の額が5億円以上の法人、または相互会社等の100%子会社等がこれにあたります。

よって、子会社だけではなく孫会社であっても、資本金5億円以上の法人等と直接又は間接的に100%の完全支配関係がある普通法人であれば、100%子法人等にあたるので、注意が必要です。つまり、直接の親法人の資本金の額が5億円未満でも、その親会社が100%親会社で、資本金額が5億円以上であれば、自社は中小法人等にあたらないことになります。

また、平成23年の税制改正によって、上記の法人のほかに、100%グループ内の複数の大法人(資本金5億円以上の法人等)に発行済株式の全部を保有されている中小法人についても、当該規定の適用を受けることになりました。
このように、たとえ資本金が1億円未満だったとしても、優遇制度が受けられるかどうか、自社の資本関係をしっかりと確認することが重要になっています。

適用されないことになる政策的措置は?

適用されないことになる政策的措置は?

では、実際にどのような制度が適用の対象外となったのでしょうか。国税庁のタックスアンサーのページに、一覧が掲載されています。ここでは抜粋して引用します。

(1) 貸倒引当金の繰入れ
銀行、保険会社又は金融に関する取引に関する金銭債権を有する法人など、一定の法人を除き貸倒引当金を繰り入れることができなくなりました。
(2) 欠損金等の控除限度額
青色申告書を提出した事業年度の欠損金及び災害による損失金の繰越控除制度における控除限度額は、繰越控除をする事業年度の控除前所得の金額の一定の割合が控除限度額となります。
(3) 軽減税率
普通法人の各事業年度の所得の金額のうち、年800万円以下の金額に対する法人税の軽減税率の適用はありません。
(4) 貸倒引当金の法定繰入率の選択
一括評価金銭債権の貸倒引当金の繰入限度額の計算において、法定繰入率の選択は行えず、貸倒実績率により計算することとなります。
(5) 交際費等の損金不算入制度における定額控除制度
定額控除制度の適用はできず、支出する交際費等の額のうち、飲食その他これに類する行為のために要する費用の額の50%に相当する金額を超える部分の金額が損金不算入となります。
(6) 欠損金の繰戻しによる還付制度
解散、事業の全部の譲渡など一定の事実が生じた場合の欠損金を除き、この制度による還付の請求は行えません。
このように、欠損金の控除限度額や、税率に対して、有利な措置を取ることができなくなりますので、注意が必要です。

出典:一定の大法人等の100%子法人等における中小企業向け特例措置の不適用について

中小企業者等との違いは?

中小法人等と似た概念として、中小企業者等があります。中小企業者等にも、税制上の優遇措置が設けられています。
中小企業者等とは、一般的には、資本金の額が1億円以下の法人で、資本金の額が1億円超の大規模法人1社に発行済株式の2分の1以上を所有されていない、又は、2以上の大規模法人に発行済株式の3分の2以上を所有されていない法人のことです。

また、この定義上の大規模法人とは、資本金の額若しくは出資金の額が1億円超の法人又は資本若しくは出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人超の法人となります。

100%子法人を判断する中小法人の定義にあった大法人とは、資本金の額の定めが異なることに注意が必要です。また、間接保有関係についても、考慮する必要がありません。つまり、100%子法人のため、中小法人には該当しないけれども、中小企業者等の優遇措置は受けられる場合もあることは留意するようにしましょう。

まとめ

今回は、100%子法人等について解説してきました。いわゆる中小法人に該当しなくなると、様々な税制優遇措置が受けられなくなる点に注意して、申告の際には資本関係を今一度確認することが必要でしょう。

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