「商社」といえば、なんとなく海外で華やかな仕事をしているようなイメージがあるかもしれませんが、商社の仕事は、トレーディングと事業投資そしてコーポレートに分けられます。財務部門は3番目のコーポレートにあたり、トレーディングや事業投資に使う莫大な予算を調達することが主な仕事です。本記事では商社の財務部門の仕事と、その年収について解説します。
商社の財務部門では、以下のような仕事を行っています。
営業における使用資金の調達・管理などを行う業務です。
特に商社は投資案件ごとにかかる金額が多額であるため、資金調達は非常に重要な業務となります。
商社では、事業・投資案件のための資金を、政府系・民間問わず金融機関から広く調達しています。融資を受けることもあり、これらの機関との良好な関係の構築、そして維持は欠かせません。
個別の案件ごとに最適なファイナンスの提案や組成を行います。主なファイナンス手法には以下のようなものがあります
石油・ガスなどの資源開発や、鉄道・発電所などのインフラ整備、石油化学などのプラント建設など、国内外で行われる大規模な事業を対象にする資金調達の方法です。
資産や事業について、自らのバランスシートで全て抱えるのではなく、種類の異なる金融商品として分化させ、それぞれのリスク・リターンに応じて金融機関や投資家に資金提供を繋ぐ、新しい金融仲介機能です。
日本企業や日系現地法人等の機械・設備や技術等の輸出・販売を対象とした融資で、外国の輸入者(買主)または外国の金融機関等向けに供与しています。
この他、海外事業会社の資金調達や、リスクヘッジなどのアドバイス業務といった財務管理支援や、貿易や投資にかかる保険についての関連業務なども行っています。
商社と言うと「年収が高い」というイメージがありますが、まずは会社、そして同じ会社であっても、所属部門や役職によっても差が大きいのが特徴です。
例えば、石油や資源などのエネルギー開発を行うような、事業投資部門であれば、海外駐在による赴任手当や、業績変動賞与が数百万出ることも珍しくないため、その分年収も高くなる傾向があります。
大手の総合商社では30代で1000万円を超えることは難しくありませんが、実はうちわけとしては、ボーナスや残業代の比率が高かったりします。
業績変動による給与が、大幅にアップした翌年の住民税の支払いが大変というのも良くある話です。
しかし、同じ商社といえども、財務部門はコーポレート部門なので、業績の変動はほとんど給与に反映されません。そのため、役職がつかない限り基本給で1000万円を超えることは難しいでしょう。逆に言えば安定した給与であるとも言えます。
こうした商社の財務関連業務については、基本的に未経験者採用はほぼありません。
新卒入社の場合は未経験でも配属されることはまれにありますが、転職となると、一般事業会社や金融機関などにおいて、国際的な財務関連業務の経験をある程度を積んでいることは必須です。
また、商社の活動フィールドが世界各国に渡ることが多いため、英語力も求められます。
以前は、新卒採用でほとんどの人材を確保していた総合商社も、最近では中途採用を積極的に行っています。
商社と一口に言っても、会社や部門で働き方やそのカラーが大きく異なります。
中途で入社するのであればなおさら、明確に希望部署を明らかにした上で応募すべきでしょう
それぞれの会社の様子については、ぜひ転職エージェントに相談してみてください。