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立会外取引とは?株式の売買方法を徹底解説!

公認会計士 大国光大
立会外取引とは?株式の売買方法を徹底解説!

株式の売買というと、インターネットでの注文や証券会社に電話をして行うというイメージがあります。この売買には、一般の人が株式を売買する場合と投資家が売買する場合、事業会社が売買する場合など様々な方法があります。
そこで、今回は立会外取引などの株式の売買方法について解説します。

通常の株式の売買方法は?

株式の売買方法は、その株式が上場しているかどうかで変わります。
まず、上場していない株式について説明します。上場していない株式というと、皆さんが町でよく目にする「○○株式会社」等の世間一般に存在する中小企業の株式を言います。

非上場株式の場合は特に売買している市場があるわけではないので、売却先を自ら探します。売却先を見つけたら、会社に株式譲渡承認をしてもらい、承認が降りると金銭のやり取り等含めて売買を行います。
非上場株式の場合は金額も含め、時期や数量など特に制限はなく、相手先との交渉によって決まります。

一方、上場会社の株式の場合は様々な制限が存在します。上場会社の場合は取引所が開設している時間帯は常に株価が値動きしている為、好き勝手に売買ができないためです。

上場会社の株式の売買は基本的には買い手については数量と金額を指定して、該当する金額の売手が出るのを待ちます。反対に売手についても数量と金額を指定して、該当する金額の買い手が出るのを待ちます。それぞれの条件に合致すると売買が成立します。

株価というのは、最終的にどの金額での売買が成立したかで決定されるため、売り手が多いときほど売値を下げる為株価が下がり、買い手が多いときほど売値も上がるため株価が上がることとなります。

立会外取引とは

では、立会外取引とはどんな取引を言うのでしょうか。
立会外取引と反対の取引を立会内取引と言います。立会内取引とは、立会時間内(証券市場が開設している時間)に株式の売買を行うことを言います。一方立会外取引とは、その時間外で行われる取引を言います。

立会外取引としては単一銘柄取引(いわゆる大口取引)、バスケット取引、終値取引、自己株式立会外買付取引等があります。

立会外取引全体に言えるメリットと言えば、一般の投資家も多く取引をする立会取引内で行うと価格の変動が大きい為市場が混乱する反面、立会外取引では時間外で多くは当事者同士で取引が行われる為、そのような混乱が生じにくいということが挙げられます。

立会外取引の方法

立会外取引の方法

立会外取引では、電子取引ネットワークシステムを用いて行われます。現在の東証のシステムはToSTNetといい、専用のシステムを用いなければ取引が行えないようになっています。

ただし、立会取引の割合と、TosTNetつまり立会外取引との割合は96:4となっており、圧倒的に立会取引の方が多くはなっています。TosTNetは機関投資家が主に使うことにはなりますが、個人でも利用が解放されており、一部の取引を除いては証券会社を通して取引をすることができます。
ちなみに、証券会社によっては夜間に個別で取引を行えるところもあります。証券会社が示した価格(多くは日中の終値)のみを使って、売買が行われ、実際に証券取引所が開いた時にその株式を証券会社が売買することとなります。

バスケット取引

立会外取引の一つとして、バスケット取引があります。バスケット取引とは、様々な会社の株式をまとめてバスケット(かご)に入れてバスケットごと売買する取引となります。

バスケット取引は、15銘柄以上かつ1億円以上の取引となり、投資家がまとめて株式を売買したい時に行われます。投資家は一気に様々な株式をさばけることがメリットとなりますし、証券会社としてはその分コストを上乗せして請求することができるため、しばしば行われる取引となります。

そのほかの立会外取引は?

バスケット取引以外の立会外取引としては、単一銘柄取引(いわゆる大口取引)や終値取引が挙げられます。

単一銘柄取引は、売り手と買い手が合意した金額と数量で契約される取引となります。立会市場の直近値から上下7%以内で価格が決定します。大口の取引となるため立会中に行われると値動きが大きく、株価に与えるインパクトが大きくなるため立会外での取引となります。

また、終値取引は直近の終値又は売買高の加重平均価格によって行われる立会外取引を言います。バスケット取引と違って小さいロットでも購入できることや、立会市場の終値を見ながら参加できることがメリットとして挙げられます。
これらの取引についてもTosTNetで行われます。

まとめ

立会外取引は立会取引と違って、特定の数量や価格等にて時間外で取引されるため、市場の混乱を招きにくい取引と言えます。また、現在はTosTNetによってのみ取引が行われます。
一般にも開放されているものも多いですが、そもそも立会外取引全体のボリュームが少ない為、皆さんにはあまりお目にかかれる機会はないかもしれません。

この記事を書いたライター

公認会計士、税理士。監査法人東海会計社代表社員、税理士法人クレサス代表社員。大学時代に公認会計士旧二次試験に合格後大手監査法人に就職し、27歳で独立開業。国際会計と株式公開支援が専門。セミナーや大学で講師を務めたり書籍の出版も行っている。
カテゴリ:コラム・学び
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