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【知ってて当然?】簿記って何?分かりやすく解説します!

HUPRO 編集部
【知ってて当然?】簿記って何?分かりやすく解説します!

簿記は普通の学校の授業では教わりませんし、就職や起業しても専門部署の人以外深くかかわることはありません。簿記って聞いたことあるけど実際どんなものなのかよくわからないという方も多いのではないのでしょうか?

しかし、簿記の知識というのはビジネスの根幹にある必須知識です。そのため具体的な計算方法はさておき、その考え方を理解することは非常に重要です。本記事では、簿記とは何か?ということについて簡単に解説していきます!

そもそも簿記とは?

簿記とは、帳簿記入の略であり、企業の経営活動を帳簿に記録するためのルールです。家計簿をつけて家計を管理するように、会社ではお金のモノの動きを複式簿記といわれる方法で記録して会社の経営活動を把握しています。

簿記の歴史

そもそも、現在の簿記のルーツは、大航海時代のイタリアで生まれました。イタリアにおいてルネサンスが花開いた時期ですね。その後、資本主義の広がりとともに、簿記は瞬く間に世界に広がり、現在では世界中の企業が共通言語として簿記を使っています。私たちが使っているこの簿記は、もはや会計上の単なる実務の一つではなく、会社の財産がどれだけあるかを把握し、1年間にどれくらい儲かったかを正確に知るために非常に重要な道具なのです。

何のために簿記をつけるのか?

このような事を判断するためには、それらがわかるように記してある必要があります。それが、企業が毎年発表する「決算書類」です。
さまざま利害関係者(ステークホルダー)たちは、決算書の内容を見て、その企業の現状やこれからの業績を判断します。いわば会社の通知表のようなものです。

そして、決算書類はいきなり出来上がるわけではありません。毎日・毎月の帳簿の記録をもとに作成する年間の集大成です。この毎日の帳簿の記録がすなわち「簿記」なのです。

正しく簿記を行うことで、どのくらい資本があるのか、何に投資していくら儲けがあるのかというのを把握することができ、投資家が投資をするかの判断材料にするなど、経済活動において必要不可欠なものなのです。

簿記は世界共通

簿記は貨幣経済の歴史と共に、その技術と方法を洗練させ、現在ではおおむね国際的な基準はほぼ同じものが採用されています。記録について統一されたルールを採用していないと、書かれたものがわからなくなってしまうからです。

現在では、一番重要な部分については、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準であるGAAP(ギャープ:Generally Accepted Accounting Principles)に従って各国の会計基準が定められており、日本では財務会計基準機構(FASF)が定めた(J-GAAP)が主に採用されています。

会計基準には、他にも国際課池基準(IFRS)やアメリカのGAAPである(US-GAAP)などがあります。
私たちが「簿記を学ぶ」という場合は、この原則に従った帳簿の記録方法を学ぶということになるのです。

簿記の原則

決算書類を作成するために記帳を行う簿記ですが、その方法には大きく分けて2つあります。
「単式簿記」「複式簿記」です。

単式簿記は、いわゆる「お小遣い帳」や簡単な「家計簿」と一緒で、受け取ったり支払った金額の取引内容を記録していく方法です。この方法はとても簡単なのですが、現在の残金や利益がよくわからないという欠点があります。

そのため、企業会計の簿記としては「複式簿記」が採用されています。複式簿記は取引による資産の減少と増加という2つの側面を記録する手法です。

簿記上の取引とは「資産」と「資本」(「負債」「純資産」「収益」「費用」)のいずれかを増減させる取引をいいます。
複式簿記では、貸借平均(貸借一致)の原則といって資本額の合計は、資産額の合計と必ず一致するものと考え、資産については左側に、資本については右側に、それぞれ「借方」「貸方」という項目に分けて記載するのです。

単式簿記と複式簿記についての詳しい解説は下記の記事をご覧ください。

簿記で記載する「取引」とは

簿記では、取引に応じて数字が動いたもののみを記載します。
つまり、「資産」「負債」「純資産(資本)」「収益」「費用」のいずれかが増減する取引のみを簿記上では取引といい、一般的な取引とは異なりますので注意が必要です。

簿記における「取引」とは企業や組織の中で起きた、お金やものの動きの全てをさす言葉です。
例えば、1000円の商品を現金で販売した場合、1000円という現金が増えたという面と、商品の在庫が減ったという面で見ることができます。
また、100万円の借金をした場合、100万円の現金が増えた結果、借入金が-100万円増加したという2つの側面からとらえることができるでしょう。

このように、お金や物が絡む取引を、2つの側面からみて記録していくのが複式簿記です。
これは、物の売買や借金など、企業活動に関係のある取引に限らず、例えば、災害によって固定資産が損害を受けたり、盗難によって現金が奪われたりした場合は、資産の減少として「取引」として記帳します。

反対に、売買契約を結んだだけとか、事務所を借りる契約をしただけ、といった、まだお金が動いていない場合は記帳しません。

簿記の5要素

今まで見てきたように、簿記の最終目的は、企業がどれだけ儲かったか、今現在どれぐらいの財産があるのかということを知ることです。その目的を達成するために、企業では一定の期間(通常は4月1日〜3月31日の一期間)を区切って、簿記によって仕訳した勘定科目をそれぞれ集計し、「貸借対照表」「損益計算書」、いわゆる決算書を作成します。

簿記では、この決算書の作成が容易になるためにかつ、決算書を読む人が分かりやすいように、「資産」「負債」「純資産(資本)」「収益」「費用」と5つの勘定科目に分類されることとなっています。これを簿記の5要素といいます。なお、この簿記の5要素のうち、「資産」「負債」「純資産(資本)」は財政状態を示す要素であることから「貸借対照表」に、「収益」「費用」は経営成績を示す要素であることから「損益計算書」に反映されることとなるのです。

簿記の5要素によって、皆さんが決算書を見たときに一目でこの企業が今年どれぐらい儲かったのか、財産がどれぐらいあるのかということを知ることができるのです。改めてではありますが、簿記の仕組みを発明した人は本当にすごいですね。

簿記を理解することのメリット

会計の基本が理解できる

これまで述べたように簿記は会計の基本です。そのため簿記を理解できるようになれば決算書を読むこともでき、自分の会社や担当する会社の経営状況を理解できるようになります。
ビジネスマンにとって会社の経営状況を数字から理解する力は非常に重要です。
ビジネス上の数字が読めることによりこれまで以上に論理的に説得のある提案や、広い視点での仕事ができるようになるでしょう。

転職に有利になる!

簿記検定は任期の資格であり、知名度が高いため会計や経理の仕事につきたい方はもちろん、他の職種を希望する人でも履歴書に書けばプラスの要素にはなるでしょう。
 

他の資格取得の足がかかりにも

簿記検定を取得した方の中では、中小企業診断士や税理士、公認会計士といったより上位の資格取得を目指す方もいます。

ルールにのっとって取引を記帳する「簿記」を行い、決算に伴う決算書を行うのは経理の仕事です。簿記はどの企業や会社でも欠かせない技術のため、学んでおくことで就職や転職に有利になるだけでなく、自分の資産形成にも役立てることができます。これを機にぜひ簿記の勉強を始めてみませんか?

会計や経理の違いは?

最後に「簿記」に類似する用語としてよく挙げられる「会計」と「経理」の違いについてみていきたいと思います。
まず「会計」とは、金銭や物品の出入りを管理すること、またその記録、計算、管理全般のことを指します。皆さんが飲食店に行った際に「お会計をお願いします」ということがありますが、これは金銭の計算という意味での会計です。また、国の機関である会計検査院はその名の通り、国家の金銭の記録やチェックを行っています。

次に「経理」についてですが、経理は会計と非常に似ており、イメージとしては、会計の中の一つと言えます。帳簿記帳、請求、支払い、税金の申告、決算書の作成などが経理の仕事にあたり、会計の中でもより公的な会社業務に関する金銭の処理のことを経理と言います。
以上のことから、それぞれの用語の関係性をまとめてみると、「会計」の中の金銭の処理の一つである「経理」。「経理」の仕事の一つである決算書の作成のためのツールとして企業の取引を記録するのが「簿記」となります。

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