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財務レバレッジの計算式は?

公認会計士 大国光大
財務レバレッジの計算式は?

企業の格付や評価を行う際には、様々な手法が存在します。その手法の一つが財務レバレッジとなります。財務レバレッジは単体でも使える指標ですが、多くは他の指標と併せて使われます。
今回は、財務レバレッジの計算式について解説します。

財務レバレッジの計算式は?

財務レバレッジとは、自己資本を1とした場合にその何倍の総資産を事業に投下しているかを示す指標となります。つまり、総資産を自己資本で割って求められます。
財務レバレッジと似た指標として、自己資本比率があります。自己資本比率は自己資本を総資産で割って求められます。
つまり、財務レバレッジの計算式は、自己資本比率の逆数となり、1を自己資本比率で割ったものと同じ結果となります。
余談ですが、ここでは「総資産」を自己資本で割って求めると言いましたが、「総資本」を割っても答えは同じになります。これは、総資産は貸借対照表の左側(資産)に注目しているのに対して、総資本は貸借対照表の右側に注目しているのですが、どちらもそれぞれの行の総合計であるため金額が一致していることに関係しています。

財務レバレッジの高低でわかること

財務レバレッジは高ければ高いほど自己資本を多くの資産に投資していることとなります。逆に財務レバレッジが低ければ自己資本はそれほど多くの資産に投資されていないこととなります。
よって、財務レバレッジが高い企業は少ない自己資本を有効活用していると言えますし、財務レバレッジが低い企業は自己資本をあまり活用できていないという評価となるでしょう。

財務レバレッジの上げ方

財務レバレッジの上げ方としては、様々ですが、総資産を増やすか自己資本を減らすかの二択となります。

総資産を増やす手法としては、例えば設備投資をすることとなります。設備投資が大型になればなるほど資金需要がありますので、長期借入金等を計上することとなります。このことにより、自己資本を増やすことなく総資産が増えるため、結果として財務レバレッジが上がります。
また、自己資本が減ることも財務レバレッジを上げることとなります。配当をしたり自己株式を取得したりすることで自己資本を減らすことができるため、結果として分子の自己資本が減少し、財務レバレッジが上がります。
この他、当期純損失を計上すると当然自己資本が減少しますので、財務レバレッジは結果として上がることとなります。

財務レバレッジと自己資本比率なぜ指標が二つある?

冒頭で、財務レバレッジは自己資本比率の逆数ということをお話しました。ということは、どちらか一方の指標があればどちらかは不要となるはずです。しかし、これらは使い分けされる為に共存していることになります。

まず、自己資本比率は企業の安全性を測るために使われます。企業の総資本に占める自己資本の割合が高ければ高いほど蓄えがあるとみなされるためです。
一方で、財務レバレッジは自己資本をどれだけ活かして総資産を増やしているかを測るために使われます。少ない手持ち資本でも企業の保有する資産を増やすことに成功しているかどうかを財務レバレッジでは把握できるからです。
このように、自己資本比率は安全性分析、財務レバレッジは企業の効率性を分析する観点で使われるのです。もちろん、両者は同じ観点での指標ですので効率化の観点から自己資本比率を用いて企業の効率性を判断したり、財務レバレッジを用いて企業の安全性を判断したりすることも大いにあります。

財務レバレッジはどれくらいが良いか

では、財務レバレッジはどれくらいが良いと言えるでしょうか。一概には言えないのですが、2倍程度が適正と言われることが多いです。財務レバレッジが2倍ということは、自己資本と他人資本がちょうど半々であるため、他人資本に過度に依拠していないと言えます。これよりも低ければ低いほど自己資本で事業を賄っている為、より安全な企業であると言えるでしょう。
しかし、財務レバレッジは安全性も見ることができる指標ですが、自己資本をどれだけ有効利用しているかを示す指標でもあります。よって、低いから良いというものではありません。
例えば財務レバレッジが1に限りなく近い場合は確かに安全な企業に見えますが、自己資本を寝かしたまま積極的な投資が行われていないと判断されるからです。
例えばソフトバンクはかなり積極的な投資を行っている企業ですので、財務レバレッジは6倍を超えてきて、積極的に多角化していることが見て取れます。
安全性を重視して企業を見るのであれば2倍を目安に、成長性を重視して企業を見るのであれば少しくらい高くても問題ないと判断しても良いと思います。

まとめ

財務レバレッジは自己資本比率の逆数で、高ければ高いほど企業の資本を有効利用していると考えられる反面、安全性は低い企業とみなされます。
高すぎるということは積極性に欠けたり成長性が見込まれないと考えられたりする場合があるため、他の指標と併せて判断する必要があります。

この記事を書いたライター

公認会計士、税理士。監査法人東海会計社代表社員、税理士法人クレサス代表社員。大学時代に公認会計士旧二次試験に合格後大手監査法人に就職し、27歳で独立開業。国際会計と株式公開支援が専門。セミナーや大学で講師を務めたり書籍の出版も行っている。
カテゴリ:コラム・学び

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