機関設計とは、どういった意味を表している言葉なのでしょうか。機関設計を簡単に言えば、会社法によって定められた「機関」について、どのように設置をするのかという組み合わせを各会社で決めることを指します。今回は、この機関設計について基礎から、具体例を挙げながら解説していきます。
機関設計とは、会社法によって定められた「機関」をどのように設置するのかを決定することをいいます。機関とは、次の項目で詳しく解説しますが、代表取締役、取締役、株主総会などのことです。これらの機関には、必ず設置をしないといけないものと、会社の体制により設置をしなければいけないもの、そして会社が任意で選択できるものに分類されています。
株式会社の場合は「会社を所有している株主と経営者は区別するべきだ」という考えが根強く、中小企業の場合は経営者がオーナーであり、株主であるというケースが多いです。また、会社を設立する場合には、会社法にも基づきながら、どういった経営方針によって会社を運営していくのかにより機関設計を定める必要があるといえます。
機関にはそれぞれに役割があります。機関の種類と、その役割を見ていきましょう。
株主総会 会社に関するすべてのことについて決議できる機関
代表取締役 取締役が数名いる場合の代表となる機関
取締役 会社の業務執行をする機関
取締役会 業務執行についての意思決定をする機関
監査役会 監査放心の決定または報告の作成をする機関
監査役 取締役の業務について監査を行う機関
会計監査人 計算書類について監査をする機関
会計参与 取締役または執行役とともに会計書類の作成をする機関
委員会 監査委員会、指名委員会、報酬委員会などを設置する機関
執行役 委員会の設置をしている会社において、会社の業務を行う機関
会社は、これら10個の機関を設置することが可能ですが、すべての会社において、これら10個の機関を設置する義務はありません。
新会社法が施行されたことにより、会社の機関設計にも変更がでました。主な変更点としては、以下の3つです。
・取締役会の設置はしなくてもよい(株式譲渡制限会社のみ)
・会計参与といった機関が追加された
・監査役の設置はしなくてもよい(株式譲渡制限会社のみ)
全体を通して、新会社法が施行されたことで、会社設立に対するハードルが低くなった印象があります。
機関設計の組み合わせとしては39種類あります。とはいっても、大会社か公開会社かによって分類すると、その数は限られてきます。ちなみに大会社とは、最終事業年度の賃借対照表において資本金とし計上した額が5億円以上、もしくは、最終事業年度の賃借対照表において負債の部とし計上した額の合計額が200億円以上とされる会社のことです。そして、公開会社とは、「譲渡制限がない」株式を1株以上発行している会社のことを指し、非公開会社とは、発行している株式すべてにおいて「譲渡性がある」会社のことをいいます。
では、具体的に、大会社と中小会社(非大会社)の機関設計の組み合わせを、見てみましょう。
大会社にも、公開会社と非公開会社があり、それぞれによって機関設計の組み合わせが変わります。
取締役会、会計監査人、監査役会
取締役会、会計監査人、執行役、三委員会
取締役会、会計監査人、監査役会
取締役会、会計監査人、監査役
取締役、会計監査人、監査役
中小企業のなかでも、公開会社と非公開会社があり、それぞれによって機関設計の組み合わせが変わります。
取締役会、監査役
取締役会、会計監査人、監査役
取締役会、会計監査人、監査役会
取締役
取締役、監査役、会計監査人
取締役会、監査役、会計監査人
今ご紹介したようなかたちでの機関設計の組み合わせで行われています。なかでも中小企業の場合は、創業時の人数によって、ほとんど決まっているといえます。では、一般的な機関設計をいくつかご紹介しましょう。
1名もしくは2名で起業をする場合においての機関設計は、「株主総会、取締役」です。1名や2名で起業をするような場合は、取締役会や監査役は設置ができないことになっています。例えば、取締役会は、3名以上の取締役が必要だと定められているからです。
3名以上で起業をする場合の機関設計は、「株主総会、取締役」が可能です。先ほど、取締役会には3名以上が必要になるとお伝えしましたが、取締役3名以上であれば取締役会を設置しなければならないというわけではありせん。そして、もし取締役会を設置すれば、会計参与や監査役が必要となって、3名では足りない状況になります。ちなみに、監査役は取締役を監査するという立場にあるため、取締役と監査役を兼用することはできないとされています。
機関設計とは、会社法で定められた機関をどのように組み合わせて設置をするのかを決定することを指しています。会社の規模や、会社を設立した時の人数などにより、制限のあるケースもみられます。また、必ず設置しなければならないものや、任意で決定できるものがあります。