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今更聞けない!当座預金の仕訳の注意ポイントとその他の預金

公認会計士 大国光大
今更聞けない!当座預金の仕訳の注意ポイントとその他の預金

経理をしていると様々な勘定科目が出てきて、仕訳をするたびに調べることがあると思います。例えば「示談交渉着手金の仕訳をしておいて」と言われた場合、どのような勘定科目でどんな流れで仕訳をするべきでしょうか。
今回は、そんな示談交渉に係る仕訳を着手金段階から順番に現役公認会計士が解説します。

預金の種類について

当座預金の紹介の前に会社で一般的に使われる預金の種類を紹介します。

普通預金

普通預金は皆さんも良く使う口座としてなじみがあるでしょう。特に使用制限のない預金で、金利も現在はわずかですがつく預金です。最終的な貸借対照表科目としては流動資産の現金預金に計上されます。

当座預金

今回のタイトルにある預金です。当座預金は資金決済の為だけに用いられる預金で、利息は付きません。しかし、当座預金を開設すると小切手の使用が可能になったり、後に登場する当座貸越契約を結んで借入を適時に行ったりすることができます。
多額の取引をする会社には必要な口座といえ、最終的には貸借対照表では流動資産の現金預金に計上されます。

当座預金の詳しい解説はこちらのコラムをご覧ください。

定期預金・定期積金

定期預金は、皆さんも持たれているかもしれませんがある一定の期日まで銀行に置いておく代わりに金利が普通預金よりも若干優遇される預金となります。定期積金は定期預金に似ていますが、毎月一定額の積み立てをする点で定期預金とは異なります。

預け入れから満期日までが1年を超す定期預金については固定資産、その他投資の定期預金勘定に計上され、預け入れから1年以内に満期日が到来する定期預金は流動資産の現金預金に計上されます。預け入れからというところがポイントで、決算日から満期日までの期間ではないことに注意しましょう。

通知預金

その他、通知預金と呼ばれる引き出しまでに数日はかかる預金があります。主に納税の為に資金を用意しておくことを目的としています。

通知預金は定期預金程ではありませんが若干金利の優遇があるため、長い期間置いておくわけではないが数日先には引き出せる状態にしておきたい時に活用される預金となります。

通知預金は流動資産の現金預金として貸借対照表に計上されます。

当座預金特有の仕訳と勘定科目

当座預金特有の仕訳として、「当座借越」というものが存在します。当座借越とはあらかじめ当座貸越契約を結んでおけば、その当座貸越契約の範囲内で自由に借り入れが行える制度となります。

当座借越の仕訳は2つパターンがあります。
一つ目のパターンとしては、全て当座預金勘定を使う方法となります。預金を預け入れるのも当座借越を行うのも当座預金勘定を使う方法です。

決算日に当座預金勘定が当座借越を上回っていればそのまま流動資産に計上され、当座借越が上回ってしまった場合は貸方の流動負債に借入金として計上されます。

二つ目のパターンとしては、当座預金の動きは当座預金勘定を用いて、当座借越が行われた場合は貸方の当座貸越勘定を用いることになります。一つ目のパターンよりも煩わしいとは言えますが、当座預金と当座借越の勘定が入り乱れないメリットがあります。

当座預金と小切手

当座預金を所持していると、小切手を振り出したり小切手を預け入れたりする処理が必要になります。

小切手を受け取った場合は現金として処理することが基本となります。その小切手を当座預金に預け入れた時に当座預金勘定として処理をします。

小切手を受け入れて即日当座預金に預け入れた場合は現金勘定を使わずに当座預金勘定を用いることはありますが、預け入れを怠った時に備えて現金を通す癖をつけておいた方が良いでしょう。

また、小切手が当座預金に反映されるまでに時間がかかることがあります。このまま決算日を迎えてしまうと当座預金勘定と銀行残高が異なることがあります。

その際は「預金勘定調整表」というものを使って、差額の理由を明確にし、責任者の承認印をもらっておく必要があります。

反対に、小切手を手渡したときは当座預金勘定のマイナスで処理を行います。受け取った場合と同様にタイムラグによって当座預金勘定と銀行残高が異なる場合は預金勘定調整表を作成しておく必要があります。

当座預金と会計監査の関係性

会計監査が必要な大会社(資本金5億円以上または負債総額200億円以上)の場合は、公認会計士による会計監査を受ける必要があります。

会計監査の際に当座預金は他の預金とは違ったことについて質問、資料請求されることがあります。当座預金は小切手を使うことがあったり他の口座に振替を行ったりする口座ですので、出入りが頻繁に起きる可能性があります。

特に決算日付近で小切手を振り出したり他口座に残高を移す作業をしたりすると、それが反映されるのが翌日以降になることもあります。

一見、大したことの無いように見えますが、この時間差を使って以前経理担当者が会社の資金を着服していたことがあります。

よって、細かいのですが決算日近くにあった資金移動の確認のために当座照合表を求められることが多々あります。よって、前もって当座照合表を用意しておくと「できる経理担当者だな」と公認会計士に思わせることができるかもしれませんよ。

まとめ

当座預金の経理は預金の特性を理解することから始めて、小切手の振出や預け入れのタイミングによる差異調整を把握して的確な会計処理をすることが必要となります。

この記事を書いたライター

公認会計士、税理士。監査法人東海会計社代表社員、税理士法人クレサス代表社員。大学時代に公認会計士旧二次試験に合格後大手監査法人に就職し、27歳で独立開業。国際会計と株式公開支援が専門。セミナーや大学で講師を務めたり書籍の出版も行っている。
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