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保険料の勘定科目、支払から受取まで教えます!

公認会計士 大国光大
保険料の勘定科目、支払から受取まで教えます!

経理では色々な勘定科目が出てきますが、意外と仕訳で悩むのが保険料です。どんな勘定科目を使い、いつのタイミングで処理をするのか。
今回は、保険料の一連の流れを勘定科目共に現役公認会計士が解説します。

保険料を支払う理由は?

保険料は読んで字のごとく、そもそも将来の災害や役員に何かあった時の為に支払うものとなります。しかし、現在はそのような目的だけではなく、節税のために保険料を支払うことがあります

保険の中には、支払時に全額損金に算入ができるにもかかわらず、解約した時に返戻金として支払った以上の入金があるものがあります。ただし、現在は法令が変わって解約返戻率の高い保険は全額損金算入ができなくなっているため、過去に契約した保険金のみこのようなメリットがあると言えます。

とはいえ、返戻率が低くとも保険には変わらないため、実質支払保険料と返戻金の差額の負担分で役員に保険が掛けられるということで加入する契約者もいるでしょう。

保険料を支払った時の仕訳

保険料を支払った時、加入している保険によって仕訳が異なります。

養老保険

養老保険というのは、保険金が満期になった時に死亡保険金と同様の金額が支払われる保険を言います。死亡保険金(死亡した際にもらえる保険金)も生存保険金(満期になった際にもらえる保険金)も法人が受け取れる場合、掛金は全額資産計上となります。

死亡保険金も生存保険金も従業員(又はその遺族)がもらえる場合は、掛金について全額従業員の給与となります。
死亡保険金は従業員の遺族、生存保険金は法人がもらえる場合は、掛金について半額資産計上、半額保険金となります。

定期保険

定期保険というのは、いわゆる掛け捨て保険です。解約時に特に返戻金が戻ってこない保険を言います。
定期保険の場合は死亡保険金しかありませんが、この死亡保険金の受取金が従業員の遺族であっても法人であってもどちらにしても掛金は全額会社の費用となります。

終身保険

終身保険というのは満期が特になく、被保険者が死亡した際に保険金が支払われるものを言います。
死亡保険金の受取人が法人である場合は、支払った保険料は資産計上されます。死亡保険金の受取人が従業員の遺族である場合は、支払保険料は給与として計上されます。

保険金を受け取った時の仕訳

保険金を法人で受け取った場合の仕訳は次の通りです。

どの保険も共通して、資産計上をしていた場合はその資産を取り崩し、収入との差額を雑収入又は受取保険金として処理をします。ただし、収入よりも積み立てていた保険料の方が大きかった場合には、差額を雑損失保険解約損などの科目で計上します。

金融商品から発生した利益ということで営業外収益として計上されることが多いですが、臨時巨額であると認められる場合には特別利益として計上することも考えられます。
資産計上をしていない場合は収入金額を雑収入もしくは受取保険金として処理することが考えられます。

保険料をまとめて支払った時

保険料は月々支払う形態と、1年分前払いする形態等様々です。月々支払う場合は先ほど案内した保険の種類に合わせて仕訳をすればよいこととなります。では、一年分前払いした場合はどのような仕訳になるのでしょうか。
資産計上されるような保険料であれば払った分を資産計上すればよいこととなります。問題は、保険料等で処理される費用項目となります。

1年以内に支払うべきものを前払いした場合は、税法上短期前払費用として支出した期の費用として一括計上することができます。よって、多くの会社は1年分の保険料を支払った期に一括費用計上することとなります。ただし、利益が出ている時と出ていない時で処理を変えると税務調査で指摘される可能性があるので注意が必要です。

例外としては、上場会社や上場準備をしている会社でしょう。上場会社では税法基準の会計処理は原則認められず、未経過部分の保険料については前払費用として流動資産に振り替えることが必要となります。ただし、上場会社等では会計処理について重要性が設けられており、この重要性を下回るようであれば公認会計士からも許容されることでしょう。

余談ですが、容認されるかどうかを決める重要性の値というのは、税引前利益の5%の5%、つまり0.25%くらいを使うことが一般的ですので、前払費用として計上しない重要性の一種の目安としてもいいかもしれません。

まとめ

保険は節税のためにこれまで多くの中小企業で使われてきた商品です。その商品の性質に合わせて会計処理が決まっており、実務では一つずつどの仕訳をすべきか考える必要があります。

しかし大手の保険会社で契約をすると仕訳の仕方も示してくれることが多い為、その通りに仕訳をすることが肝心です。また、保険料が全額資産計上となるようなものであれば、決算日時点での積立金額を教えてくれることもあります。

仕訳処理をあいまいにしたまま次の期を迎えてしまうと修正が困難となる科目ですので、毎期仕訳処理については保険会社などを通じて正確に行う必要があります。

この記事を書いたライター

公認会計士、税理士。監査法人東海会計社代表社員、税理士法人クレサス代表社員。大学時代に公認会計士旧二次試験に合格後大手監査法人に就職し、27歳で独立開業。国際会計と株式公開支援が専門。セミナーや大学で講師を務めたり書籍の出版も行っている。
カテゴリ:コラム・学び

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