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相続税折衝は誰にお願いすればいいの?

HUPRO 編集部
相続税折衝は誰にお願いすればいいの?

2019年現在、改正の真っただ中にある相続法。相続税については、基礎控除額の変更により対象者が今までの倍ほどにも広がっています。相続は”争続”とも言われるように、何かともめやすいものです。本記事では、相続にまつわる相談先と、それぞれの士業の方の業務の範疇について解説します。

広がった相続税の対象者

相続税は平成27年に改正が行われ、それまでの基礎控除額(5000万円+法定相続人の人数×1000万円)から、40%カットされ、(3000万円+法定相続人の人数×600万円)となっています。
実はそれまでは相続税については、最低でも6000万円の基礎控除があったことから、一部の富裕層のもの(割合にして4%ほど)であったのですが、この基礎控除額の引き下げにより7~8%の割合にまでその対象者が増えています。

3600万円といえば、地方都市でもマイホームやマンションとそれなりの現預金があれば届いてしまう額です。

もちろん、相続財産が基礎控除の金額を下回っており、相続税を支払う必要がなければ、そもそも相続税の申告をする必要もありません。
しかし、相続財産が基礎控除額を超えており、1億6千万円の配偶者特別控除や、小規模宅地の特例といった、基礎控除にプラスできる控除を摘要する場合は、相続税の支払いがなくても申告が必要になります。

こうして、相続税の対象者が広がることにより、相続税の支払いや申告についても対象者が広がっています。

相続についての相談先は内容によって異なる

一口に「相続」といっても、実はケースによって相談すべき専門家が異なることをご存知でしょうか?専門職にはそれぞれ独占業務があり、定められた業務以外を行うことはできません。

会計事務所・税理士に相談するケース

相続=相続税、税金のことは税理士!と思いつかれるかもしれませんが、確かに「相続税の申告」については、税理士の業務となります。
もし、基礎控除を超えるような相続が発生しそうであれば、あらかじめ相談しておくことで、もしもの場合の様々なトラブルや手戻りを防ぐことになります。

なお、税理士業務である①税務代理、②税務書類の作成、③税務相談は、たとえ無償であっても税理士等でない者は、他人の求めに応じて行ってはならないとされています。
もし、会計事務所・税理士事務所のスタッフであっても、資格がない方は対応ができませんのでご注意ください。

弁護士に相談するケース

相続財産について、相続人の間で争いになってしまったり、その可能性が高いようなケースの場合は、弁護士の出番です、遺産分割調停などの裁判所手続きが必要になる場合は、弁護士であれば正式な代理人として立てることができますので、いざという時の折衝の対応の窓口となってくれます。この相続における相続人との交渉は弁護士のみしか行うことができません。

司法書士に相談するケース

相続で折衝が起こる場合でも、参考資料として戸籍などの証明書類を収集したり、財産目録を作成したり、遺産分割協議書の分案作成などは司法書士でも対応が可能です。
また、不動産の名義変更が起こる場合は、司法書士に依頼することになります。
原則的に司法書士でもできることは弁護士でもできませんが、専門分野でない場合はスムーズに作業が進行しない場合があります。

信託銀行に相談するケース

信託銀行に財産管理を丸投げしていて、そのまま相続のことを任せるという人もいます。銀行ではそれぞれの専門家と提携していますので、相続人に必要な処理を具体的に指示し、相続登記が必要であれば司法書士に、申告が必要であれば税理士へと業務を割り振って対応してくれます。しかし、総合的に多くの人がかかわるということもあり、多額の依頼料がかかるのが難点です。

相続税の申告期限

相続税の申告を必要とする場合は、相続の開始があったことを知った日(通常は被相続人が亡くなった日)から10カ月目の日までに申告書の提出と納付が必要です。

相続税が生じるかどうかの目安判定は、国税庁のWEBサイトから検索できます。
出典:国税庁ホームページ相続税の申告要否判定コーナー

相続法改正について

民法の相続法について、2019年より改正法案が順次実行されていきます。相続の実情に合わせて内容の変更が行われていますが、今までの対象者が約2倍に広がったことで、相続にまつわる諸々のトラブルも増加することが予想されます。
できる限り節税をおこないつつ申告のサポートを行えるように、税理士事務所や会計事務所においても相続税の申告について学んでおく必要があると言えるでしょう。

この記事を書いたライター

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