士業・管理部門のキャリアコラムが集う場所|HUPRO MAGAZINE
士業・管理部門のキャリアコラムが集う場所

カテゴリ

当期純利益は法人税とどのように関係がある?

HUPRO 編集部
当期純利益は法人税とどのように関係がある?

当期純利益とは、会社にとってどのような存在なのでしょうか。また、当期純利益を求める際に法人税が必要になりますが、それはどうしてでしょうか。会社の売上高や営業利益と比べるとあまり注目されない当期純利益と法人税。今回はこの2つについて解説していきます。

当期純利益とはどういうもの?法人税とはどう関係する?

当期純利益とは、税引前の当期純利益より法人税などの税金を差し引き、求められたものです。つまり、当期純利益とは、純粋に会社が稼いだ利益といえます。
ただいま「法人税など」と表現をしましたが、税引前の等純利益より差し引く税金としては3つあり、それぞれを法人税、法人事業税、法人住民税といいます。

法人税

法人税とは、法人所得税ともいわれます。会社の所得に応じて課税される国税です。ちなみに法人税の税率は、所得金額や資本金によって違ってきます。

法人事業税

法人事業税とは、地方自治体より事業を営んでいることに対して課される悲報税です。所得に応じて課税される「所得割」が基本となっています。

法人住民税

会社の事業所が所在している地方自治体に納付しなければいけない地方税です。会社という法人においても、地方自治体による公的サービスを受けているという観点により、納付の義務が発生すると考えられています。法人住民税は、資本金に応じて課税がなされる「均等割」と、法人税額に住民税率を用いて計算する「法人税割」があります。

当期純利益からわかる会社の財政状況とは?

当期純利益は、会社の最終的な純粋の利益でした。つまり、当期純利益を見れば、その会社が年度内でどれだけの成果をあげることができたのか、ということがわかります。経常利益など、他にも利益に関する指標は存在しますが、例えば営業利益や経常利益だけでは、特別損失が発生したことなどを把握することはできません。当期純利益では、そのような想定外の支出も読み解くことが可能です。そのため、当期純利益は会社の税務状況の把握において最重要視されています。また、前年度の当期純利益や、競合他社の当期純利益などと見比べることによっても、会社の成長性を知ることができるのです。

税引前の当期純利益と当期純利益は連動しない場合もある

上記で述べたように税引前の当期純利益より法人税などを差し引いたものが当期純利益で、会社の最終的な利益を指します。よくメディアなどで伝えられている「営業利益10%増加」「売上高5%増加」といったものは、前年度の税引前の当期純利益が比較されているのです。ところが、税引前当期純利益は増えているのにもかかわらず、当期純利益そのものが前年度よりも減っているという状況が起きることがあります。これは、法人税が関係しています。
実は法人税に関しては「法人税等調整額」というものが存在します。将来の利益が減ると見直されたり、赤字と考えられていたものが黒字に変わると、これによって法人税等調整額も増えたり減ったりするのです。
このように会社がまだ結果を出しているわけではない「将来の会社の利益の予想の変更」というものによって法人税等調整額は増えたり減ったりするので、法人税等の金額が会社の税引前利益と一致しているとは限らないのです。その結果、税引前当期純利益は増えているのにもかかわらず、当期純利益は減っているという現象が起きてしまうのです。実際にこれは珍しいことではありません。

住民税などを引いた当期純利益は1年だけで判断しない方が良い

先ほども解説したように、当期純利益とは、どの年度内に起きた突発的な支出も含めて割り出されます。営業利益や経常利益が前年度よりも良いと判断できたとしても、所有株価の下落や災害の損失などによって、当期純利益は下がっている場合があるのです。

反対に、本業の営業利益や経常利益では赤字なのに対し、でも、当期純利益が黒字になる場合もあります。例えば、所有していた不動産などを売却し、それによる利益を得た場合です。このようなことがあるため、短期間の当期純利益だけを見て、利益が出ている会社かどうか判断することは避けたほうが良いでしょう。できれば5年や10年ほどさかのぼって、当期純利益の推移を確認するようにしてください。

まとめ

税引前当期純利益は、税金を差し引く前の利益です。そしてそこから法人税などを引いて、求められたものが当期純利益となります。ただ、この法人税などの額はあらゆる予想に基づいて増減することがあります。また、当期純利益は資産の売却なども反映しているため、確認をする際には短くても5年、できれば10年ほどの当期純利益を比較するようにしましょう。そうすることで、その会社が本当に成長できているのかどうかを正確に判断することができます。従って、年度の事業に関する収益性を判断したいのであれば営業利益や経常利益を確認し、会社としての損益を判断したいのであれば、当期純利益を確認するようにしましょう。

この記事を書いたライター

HUPRO MAGAZINEを運営している株式会社ヒュープロ編集部です!士業や管理部門に携わる方向けの仕事やキャリアに関するコラムや、日常業務で使える知識から、士業事務所・管理部門で働く方へのインタビューまで、ここでしか読めない記事を配信。
カテゴリ:コラム・学び

おすすめの記事