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株主総会の決議事項と要件:役員報酬や役員選任はどう行う?

HUPRO 編集部
株主総会の決議事項と要件:役員報酬や役員選任はどう行う?

この記事では、株主総会の決議事項の内容について解説いたします。
株主総会は原則として会社のすべての意思決定に関わることができますが、具体的にどのような決議要件が求められるかについては法律で細かくルールが決まっています。
会社のガバナンスを考える上で重要な問題と言えますので、参考にしてみてください。

そもそも株主総会がどういうものかよく分かっていないという方は、先にこちらのコラムをご覧ください。

株主総会の決議には3種類がある

株主が集まって会社の重要事項について意思決定を行う株主総会では、以下の3種類の決議の方法があります。

普通決議
特別決議
特殊決議

それぞれの決議方法で求められる要件は以下のとおりです。

なお、これらの要件をより厳しくする内容であれば、定款で異なる内容を定めることも問題ありません。

普通決議

株主総会に出席する株主で議決権総数の過半数を構成し、出席株主の議決権の過半数で決議を行います。

普通決議では、以下のような項目を決議することができます。

役員の選任
役員報酬の決定
剰余金の配当
自己株式の取得(公開買い付けによる場合)
資本金額の増加など

特別決議

株主総会に出席する株主で議決権総数の過半数を構成し、出席株主の議決権の3分の2以上で決議を行います。

以下のような項目は特別決議によって議決する必要があります。

定款の変更
譲渡制限のある株式の買取
自己株式の取得(特定の株主との相対取引による場合)
株式の併合
会社の解散

特殊決議

議決権を有する株主の半数以上が株主総会に出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上で決議を行います。

以下のような内容の決議を行う場合は、特殊決議が必要です。

発行する株式の全てに譲渡制限を付す場合の定款変更
特殊な内容の会社合併の承認など

なお、特に重要な内容については、すべての株主の半数以上が出席し、すべての株主の議決権の4分の3以上で決議を行う必要があります。

具体的には、以下の場合が該当します。

発行する株式の全てについて譲渡制限を設けている会社で、一定の株主に対して異なる扱いを認める内容の定款変更を行う場合

実務上重要な決議事項の内容

実務上重要な決議事項の内容

株主総会では会社のさまざまな問題について意思決定を行えますので、必然的に重要な議案と、それほど重要ではない議案が生じます。

会社の経営そのものに影響を及ぼすような重要事項については、慎重な意思決定が必要であることから、特別決議や特殊決議といった、成立要件がきびしい決議方法が求められているのです。

普通決議・特別決議・特殊決議のそれぞれで意思決定ができる決議事項は、会社法というルールで決まっています。

もし、法律で求められている決議方法に不備があるにもかかわらず、会社が当該の意思決定を行ったような場合には、利害関係を持つ人は総会決議取り消しの訴えを起こすことが可能となります。

以下では、重要な決議事項について、成立の要件や実務上の注意点を解説していきます。

役員の選任

会社法上、以下のような人たちは「役員」として扱われます。

取締役
会計参与
監査役

一般的にいう社長や副社長といった役割の人は、多くの場合は上の取締役に該当します。

これら役員の選任や解任を行うためには、株主総会の普通決議が必要となります。

一方で、代表取締役や執行役などについては、取締役会設置会社においては取締役会の決議によって選任・解任を行うことができます。

役員報酬の決定

役員に対する報酬は、株主総会の普通決議によって決定することができます。

株主総会での決議によるのであれば、事業年度中において役員報酬の金額を変更することも可能です。

ただし、期中において役員報酬の額を変更する際には、変更後の報酬は法人税計算上の損金への参入が行えないことに注意が必要です。

法人税法上、損金に参入することができる役員報酬は、期首から3ヶ月以内に株主総会で定めた金額までに限定されます。

例えば、三月末決算の法人であれば、翌事業年度の4月〜6月の間に株主総会を開催し、普通決議を行った上で議事録を作成しておかなくてはなりません。

株主総会の決議事項を取締役会に委任することは可能か

株主総会は常設の機関ではありませんから、決議を実現するためにはある程度の時間と手間がかかります。

そのため、取締役会に対して株主総会の決議事項を委任することができれば効率的と考える方もいらっしゃるでしょう。

しかし、結論から言うと、会社法上「株主総会で決議すべき内容」と定められているものについては、株主総会から取締役会へ決定権を委任することはできないのが原則です。

これらは定款に記載したとしても変更することができないルールですので注意しておきましょう。

ただし、法律で「原則」として定められているルールには常に「例外」があります。

株主総会から取締役会への決議事項の委任についても同様で、以下のような内容の意思決定については、例外的に株主総会ではなく取締役会での意思決定を行うことが認められています。

自己株式の取得
剰余金の配当等

なお、これらの項目に関して株主総会から取締役会への委任を行う場合には、定款でその旨を定める必要があります。

オーナー経営者は実質的に会社のすべての意思決定を行える

上では「株主総会から取締役会への権限委任は原則としてできない」というお話をしました。

しかし、多くの中小企業においては、株主と経営者が同一人物となっていることが多いでしょうから、実質的には経営者が会社のすべての意思決定を主導できるというのが実際のところです。

会社の重要な事項に関する意思決定は、会社の経営状況について熟知している人たちの意思決定によるほうが合理的であるという考え方もあります。

一方で、会社の重要事項について特定の経営者だけが意思決定権を持つことは、会社のガバナンス上の問題を生じさせることもあります。

会社の規模が拡大していくに従って、意思決定を求められる項目も多岐に渡るようになりますから、会社の成長段階に合わせて所有と経営の分離を進めていくことが求められます。

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まとめ

今回は、株主総会の決議事項について解説いたしました。

本文でも見たように、会社法で求められている決議方法を満たさずに行われた会社の法律行為は、利害関係者からの訴えによって取り消される可能性があります。

会社の成長段階に合わせてガバナンス体制を構築していくことは、会社経営に関わる人にとって重要な役割と言えるでしょう。

株主総会はいつ開催するの?臨時株主総会って?議事録って必要?などについてはこちらの記事をご参照ください。

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この記事を書いたライター

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