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売上1000万円以下は消費税が免税!免税事業者について詳しく解説

HUPRO 編集部
売上1000万円以下は消費税が免税!免税事業者について詳しく解説

2019年10月に10%に上がった消費税。間接税である消費税は、もともとは事業者が消費者から預かって納税するというものです。しかし、事業者の中には消費税の納税を免除されている「免税事業者」があります。その境目は売上1000万円です。本記事では、消費税の免税事業者について詳しく解説します。

消費税のしくみ

商品の購入時やサービスを受けた時に等しく課税される消費税ですが、消費者は直接消費税を納税しているわけではありません、支払い時に課税されている消費税は、会計時に事業者がいったん預かるという形で、税務署にまとめて納税しています。

しかし、事業者も消費税については、仕入れ時に支払っていますので、納税の際には預かった消費税から支払った消費税を差し引いて納税します。

また、一口に消費税といっていますが、実は国税である消費税と、都道府県税である地方消費税の総称です。納税の際には区分する必要がありませんが、消費税10%の内訳は、消費税率7.8%・地方消費税率2.2%となっており、軽減税率である8%の内訳は、消費税率6.24%、地方消費税率1.76%となっています。

免税事業者とは?

本来であれば、消費税については事業者全てが納める義務があるといえますが、消費税の納税を免除されている事業者を免税事業者といいます。

課税事業者と免税事業者の境目は、前々年に消費税がかかる売上が1000万円を超えているかどうかです。つまり、課税売上高が1000万円以下だったら免税事業者になります。

近年は、この条件が追加されて、個人事業主の場合であれば、前年の1~6月までの半年間、法人の場合は前事業年度の開始日以後6ヶ月間の特定期間で、業績が急上昇して1000万円を超えた場合、翌年から課税事業者になることになりました。
さらに、売上の判定に代えて、給与支払額が1000万円を超えているかどうかで判定することもあります。

また、新規開業時は、資本金1,000万円以上の法人以外は前々年度、もしくは前年度の課税売上高がないので、その課税期間の納税は免除されます。

売上が1000万円を超えたために課税事業者になった場合であっても、それ以降に売上が1000万円以下に落ち込んだ場合は、税務署に届出を行うことで免税事業者に戻ることも可能です。

免税事業者が請求した消費税はどうなる?

免税事業者においても、仕入れ時には消費税を支払っていますので、請求時に消費税を上乗せして請求することに問題はありません。
しかし、仕入れの消費税を支払ったとはいえ、請求した消費税を納税しないため、しばしば免税業者にとっての益税(納税されない消費税がそのまま利益になってしまうこと)という指摘がありました。

そこで、2019年10月の消費税引き上げと軽減税率制度導入に伴い、2023年10月から「適格請求書等保存方式(インボイス方式)」が開始されることになっています。

インボイス制度の導入による免税業者への影響

インボイス方式では、事業者は適格請求書(インボイス)に記載された消費税でないと仕入額控除、つまり消費税を請求に載せることができなくなります。
そして、インボイスを発行できるのは、消費税の課税業者のみのため、免税業者は消費税を請求書に記載できなくなるのです。

これは2つの問題をはらんでいます。

・免税業者にとっては、消費税を請求できないため、仕入や経費で支払った消費税がマイナスになる

・取引先にとっては、免税業者から消費税を受け取れない(インボイスでない請求書は消費税の経理処理ができない)ので、仕入控除の額が減少してしまう→課税対象の金額が増える

もともと、免税業者については消費税分を値引きサービスしたりして事業を成り立たせていたものも多く、そのすべてが益税であったとは決して言い切れない部分もあります。

免税業者であっても、今まで消費税を請求していた場合は、そのまま課税業者に変更すれば良いかもしれませんが、もともと消費税を請求していない個人事業主や中小企業は、課税事業者になったからといって、取引先が消費税分を上乗せさせてくれるとは限らず、最悪の場合は、売上自体が消費税分減少してしまうことになります。

さらに、取引先としては、免税業者との取引を続けるのであれば、今まで仕入控除していた消費税分が売上になってしまい、支払う税金が増えてしまいます。そのため、免税事業者とは取引しないという方針を打ち出しているところも少なくありません。

インボイス制度への経過措置

インボイス制度への切り替えを急に行うことで生じる混乱を避けるために、以下の経過措置が段階的に設けられています。

2020年10月から2023年9月までは、免税事業者であっても、消費税を10%乗せた請求書を発行できます。

2023年10月から2026年の9月までは、免税事業者がインボイスではない請求書を発行したとしても、課税仕入れに係る消費税相当額の80%までは控除が可能です。

2026年10月から2029年の9月までは、免税事業者がインボイスではない請求書を発行したとしても、課税仕入れに係る消費税相当額の50%までは控除が可能です。

最終的に2029年の10月以降は免税事業者からの仕入れに関しては、一切仕入額控除ができなくなります。

売上1000万円以下の免税業者である場合、インボイスのために課税事業者になるか、あるいは免税事業者のままでいるかというのは、取引先の確保にもかかわる大きな問題です。今の内から専門家に相談し、財務状況を見て準備しておく方が良いでしょう。

この記事を書いたライター

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