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食品業における経理担当者の役割

HUPRO 編集部
食品業における経理担当者の役割

経理の仕事と一口に言っても、職種によって業務のポイントは変わってきます。食品業の場合は生鮮食品を取り扱うことから、消費期限が近づいた場合や期限が切れた場合の商品の処理が経理に影響してくるのが特徴です。そこで今回は、食品業における経理のポイントについて解説していきます。

食品業の特徴

食品業における経理の仕事をより深く理解するために、まずは食品業の特徴をご紹介します。

食品業の一般的な業務は、肉類や野菜などの原材料を製造加工して食品製品とし、それを商品として販売することです。

食品業の業務形態は、いわゆる製造業に該当します。多くの食品業の場合、商品を加工して生産するために機械を導入した工場を使用し、原材料を大量に加工して販売します。

食品業の最も大きな特徴は、加工販売する商品を最終的に消費者が食することで消費されることです。人の口に入るものであることから、異物の混入や食中毒などの被害を防止することが重要になってきます。

日本における食品業の管理には、食品衛生法が大きな役割を果たしています。食品の製造に関わる原材料、農薬などの薬品、加工方法などを規制によって安全性の高いものに限定することで、食の安全の確保を図っています。

また、関連法規に基づく最低限の安全性の確保のみならず、食品の流通過程を把握できるトレーサビリティなど、消費者が食品の情報を詳しく把握するための取り組みも重要視されています。

食品業の経理の基本

食品業は、原材料として用いられる物の多くが肉や野菜などの生鮮食品であることが特徴です。そのため、原材料の鮮度を保つために、食品を製造加工する工程はスピーディーに行われます。

原材料が素早く処理されることから、食品業の経理業務においては複雑な原価計算までは要求されないのが一般的です。

加えて、会計業務を効率的にサポートしてくる会計ソフトが充実している昨今においては、ソフトを適切に使うことができれば経理業務の大部分に対応することも難しくありません。

具体的には、取引に基づく仕訳の入力、元帳や試算表の作成、決算修正仕訳の入力などをソフトを使って行います。そのため、食品業の経理の仕事では会計ソフトを使えることが大きなポイントになってきます。

食品業の経理は商業簿記

食品業の原価計算は会計ソフトを使えれば基本的に難しくありませんが、状況に応じて臨機応変に対応するためには商業簿記についてのきちんとして知識が大切です。

商業簿記は企業や商店の売買を記録して損益を計算する方法で、簿記の中では基本概念となるものです。日商簿記3級や4級の試験内容でもあるので、知識の取得は色々な面で重要です。

商業簿記の重要な項目の1つに売上の計算がありますが、食品業の特徴として、小売店や問屋などの得意先へのリベートをどう処理するか、という論点があります。

この点、販売促進費や販売手数料として計上するのが一般的ですが、売上の減額として処理するのがグローバルな基準になっています。経理にあたっては、その企業がリベートをどのように処理しているかを把握しておくことが大切です。

売上計上基準の経理方法に注意

食品業の経理の基本は、商業簿記の知識に裏打ちされた会計ソフトの使用ですが、業界特有の特徴もあるのでその点には注意しましょう。

具体的には、経理業務の対象となる企業がどのような売上計上基準を採用しているかを知っておく必要があります。

多くの業界においては、取引先に引き渡しが完了した時点で売上を形状するのが一般的です。一方、食品業の場合は、取引先ではなく、取引先に物を運搬する運送会社に引き渡したタイミングで売上を形状する場合が少なくありません。

運送会社に発送のための引き渡しをした時点で計上する理由は、食品業はスーパーやコンビニなど多くの場所に流通する性質上、商品が取引先に到着したかどうかを都度確認することは業務の煩雑化を招く場合が多いからです。

そのため、食品業の経理にあたっては、売上計上をどのタイミングで実施しているかを知ることが重要です。

棚卸資産の評価方法を理解する

長期保存ができないという食品の性質から、食品業の会計においては棚卸資産の評価の基準に注意する必要があります。

食品業における棚卸資産は、原材料とそれを加工した食品がメインになります。原材料と食品はどちらも通常は生ものであることから、長期間の保管は基本的にできません。

そのため、賞味期限や消費期限が近づいた商品は定価よりも安い価格で販売することが多いです。また、期限が切れてしまった商品は廃棄することになります。

商品の価値が低下した場合や、販売ができなくなった場合には、棚卸資産の評価に関する会計基準について特別な処理を行う必要がでてきます。

具体的には、棚卸資産は取得原価や製造原価で価格を評価するのが通常であるところ、これらが市場の評価額よりも価格が下がっている場合には、棚卸資産の価額を引き下げて処理をします。

価格の引き下げによって生じた差額については、製品評価損などとして費用処理します。また、廃棄処分となった商品については棚卸資産には計上せず、製品廃棄損として処理を行います。

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