最近では、Amazonをはじめ、ヤフオクやメルカリ、BASEやSTORESといったサイトから、個人でも簡単に物を販売できるようになりました。それで生計を立てるとまではいかなくても、副業として行っている方も多くいるのではないでしょうか。本記事では、そうしたネットショップで販売利益が上がった場合の確定申告について解説します。
ネットショップやフリマアプリで販売するものについて、まず確認しておきたいのは、「利益を得ることを目的にしているかどうか」です。
というのも、「メルカリ」などのフリマアプリは、そもそも自分の生活用品の売却がメイン。生活用品とは衣服・家具・本など生活をするのに必要なもので、これらを売却する場合は所得税において非課税とされます。
自分の生活のために買ったものが不要になったために、処分を目的としてフリマアプリを利用するようなケースでは、原則として所得税はかからないのです。
例えば、大きくなった子供服や、読み終わった本をネットで販売するような場合は、一時的な取引とみなされます。
しかし、貴金属や宝石などの高価な物品、生活用品でも希少性が高く30万円を超えるようなものについては課税対象となる場合があります。
また、生活用品の売買といっても、仕入れたものを転売するような「利益を得るための行為」を継続的・反復的に販売を行う場合も所属税の課税対象となります。
どんなプラットフォームを使うかではなく、何を目的としているかがポイントとなります。
会社から給与をもらっている人については、本業以外の年間所得が20万円を超えた場合は確定申告を行う必要があります。勤務先が副業禁止の場合は、確定申告により住民税の額が変わってしまうことから、副業の発覚を避けるために申告しない人もいるようですが、所得金額が一定以上の場合は納税義務があるので注意が必要です。
副業としてネットショップを行っている場合は「雑所得」に該当します。
学生や専業主婦といった、特定の給与がない人については、学生で扶養控除の対象である人であれば年間の合計所得金額が38万円(令和2年分以降は48万円)の超えた場合は確定申告が必要です。
専業主婦の場合は、配偶者の年収によって額が変わります。以下のリンク先からご確認ください。
国税庁 No.1191 配偶者控除
ネットショップである一定以上の収入が得られるのであれば、いっそ個人事業主として、開業する方がお得という場合もあります。
その場合は開業にかかる費用を開業費として経費に算入できたり、雑所得よりも税率の低い事業所得として申告できたりなど、メリットもあります。
しかし、事業所得として認められるかどうかは、実態判断となりますので、自営業者であっても副業的な位置づけでネットショップを行っている場合は、税務調査で雑所得に仕訳されてしまうかもしれません。
ネットショップでの売上計上がいつかによって、年間収入が変わってくることがありますので、要注意です。売上の計上日については以下の3つのタイミングで選ぶことができますが、一度選んだらその後の基準は統一しておく必要があります。
①出荷した日
一番簡単でわかりやすい日付であるといえます。売上金が後払いの場合は売掛金として処理しましょう。
②商品が相手に届いた日
前払いの場合で、宅配サービスなどを利用していれば日付が確認できます。実店舗では商品を渡した日になるため、小売業では一番多く採用されている日です。
③相手が商品を確認した日
メルカリなどは検収を行ってから着金するので③がわかりやすいかもしれません
確定申告を行う場合、収入を得るために使った経費を計上することができます。
例えば、ネットショップであれば、インターネット通信代や郵便・宅配料、システム利用料や梱包資材などです。
自宅を事務所にしている場合は自宅家賃や電気代などの一部なども経費として計上できる場合があります。
「一部」というのは、自宅では生活も営んでいるため、すべてを業務用として経費算入することはできないからです。あくまでネットショップ用に使っている適切な割合を考えて申告しましょう。
また、経費については領収証の保管が必要です。月ごと・年ごとにファイリングして保管しておきましょう。
自宅にある不用品を販売するだけでなく、仕入れを行って転売するなどしている場合は、商品の在庫を年末に棚卸し「売上原価」を計算する必要があります。
売上原価=年初にあった商品在庫+1年間の仕入れ金額―年末の商品在庫
例えば、手元に置いておらず、Amazonの倉庫に預けてあるような場合でも、在庫として計算する必要があるので注意しましょう。
ネットショップやフリマアプリの普及に伴い、簡単にショップが開設できるようになりました。しかし税務署でもこれらのシステム利用者の申告漏れに厳しい目を光らせています。マイナンバー制度の導入によって税務調査がより厳しくなることも予想されるため、ネットショップで所定以上の利益が上がったら必ず確定申告を行い、無申告になることは避けるようにするのが安全といえるでしょう。