消費税10%も導入され、コンビニエンスストアをはじめとして、スマホでのキャッシュレス決済が急速に普及しています。そこで本記事では、もともとあったSuicaやEdyなどの電子マネーの決済に加え、QRコードを利用した「~Pay」について会計処理をどうしたらよいのかを詳しく解説します。
まず、スマホ決済について簡単に触れておきましょう。スマホを利用した決済方法は全て「スマホ決済」と呼ばれますが、大きく分けると2つの方式に区分することができます。
クレジットカードや電子マネーなどを登録したスマホを、専用端末にかざして行う決済です。専用端末による読み取りが必要なので、それがない場合には取引ができません。
最近では「~Pay」の呼び名で急速に普及している決済方式です。
あらかじめそれぞれのアプリをスマホで導入しユーザー登録して、クレカ情報や口座情報を登録あるいは金額をチャージします。
お店が表示するQRコードをスマホのカメラで読み取るユーザスキャン方式、またはスマホに表示されたQRコードをお店の端末で読み取るストアスキャン方式といういずれかの方法で決済を行う仕組みです。
決済と同時にユーザーは決済会社にお金を支払い、そこから決済手数料を引いたお金がお店に入る流れとなっています。
それでは、スマホ決済における会計処理について、決済方式の違いから確認していきましょう。
これらの決済については、事前に現金でカード等に残高をチャージし、利用の都度にチャージ金額が減るプリペイド(前払い)方式と、クレジットカード機能等により、利用後に預金口座から引き落とされるポストペイ(後払い)方式の二つの種類があります。
プリペイド方式での場合は、ICカードに現金をチャージした時には経費としてみなさず、「仮払金」、クレジットカードによるオートチャージの場合は「未払金」で処理し、実際に利用した段階で経費処理し、仮払金等を充当する方式にします。
ポストペイ方式の場合は、クレジットカードの仕訳と同様、ICカードで購入した段階では「未払金」です。
改札で交通費などを引かれている場合は「旅費交通費」、買い物に充当した場合は「消耗品費」など、それぞれの勘定科目で処理します。
もし、毎回の仕訳が面倒という事であれば、そのカードは交通費専用としてしまい、チャージした金額を全て「旅費交通費」に仕分けするという方法も使えます。しかし、その場合は利用履歴を保存し、いざという時に説明できるようにしておきましょう。
利用履歴については、アプリ内に一定期間は保存されていますが、たとえば、モバイルSuicaの場合は、26週間以内かつ指定日からさかのぼって最高100件と制限があります。チャージと利用履歴については印字して保管するのが、後々のために安心です。
QRコードを利用した決済では、事業用の経費をどのように仕分けするかがポイントですが、勘定科目については、前述のSuicaなどと一緒です。それぞれにあった形で勘定科目を仕分けします。
支払方法については、チャージやクレジットカード払いのほか、キャンペーンなどで生じるボーナスポイントがあります。
ここでは「PayPay」を例にとってみてみましょう。
PayPayの残高については、PayPay残高、Yahoo!マネー、クレジットカードの3つの支払方法から選ぶことができます。
PayPay残高には、「ライト」と「ボーナス」の2種類があります。
「ライト」→Yahoo!JAPANカードやYahoo!ウォレットの預金払い口座からPayPay残高にチャージした金額です。
「ボーナス」→特典やキャンペーンによりPayPayに進呈されたものです。キャッシュバックなどがこれにあたります。
PayPay決済をPayPay残高で払う場合、いずれのルートから残高を得たかによってチャージと決済時の仕訳が変わってきます。
チャージの時には、ライトの場合は借方PayPay(勘定科目をその決済名で作っておくと便利です)/貸方 普通預金 となりますが、ボーナスの場合は実際に決済で利用するまでは特に処理を行いません。
決済時には、ライトの場合は借方に利用した勘定科目(消耗品費など)を入れ、貸方にはPayPay(など決済名)を使います。ボーナスの場合は借方に利用した勘定科目(消耗品費など)を入れますが、貸方は雑収入となり、ここではじめて利益を得たことになります。
もし、PayPay にチャージせずにYahoo!マネーで支払っている場合は、PayPayではなくYahoo!マネーを勘定科目として使用し、クレジットカードの支払いとしている場合は、クレジットカードの未払い金の勘定科目となります。
また「ゆうちょPay」などは、デビットカードのように即時口座から引去されるシステムになっています。この場合は、貸方は普通預金として処理することになります。
スマホ決済といっても様々な決済方法の登場で、ユーザーにとっては便利になり、キャッシュバックやキャンペーンなどでお得なシステムが増えるのと同時に、どのような決済方法を用いているかということに加え、そのチャージ方法などで会計処理が変わってくることになりますので気を付けましょう。