地方消費税の計算方法は?消費税全体として注意すべきことも解説!
消費税は、国に納める国税と、地方に納める地方税の二つに分かれます。しかし、いざとなると地方消費税ってどうやって計算するんだっけ?と思ったことはありませんか?今回は、地方消費税の計算方法や、消費税全体として注意すべきことを解説します。
消費税は商品や製品、サービスの提供(課税取引という)により顧客から一時的に集め、今まで企業や個人事業主が支払った消費税と差し引いて納める税金です。一方で土地の売買や利息の受取など、消費税がかからない取引もあり、このような取引については非課税取引と言われます。
全ての企業や個人事業主が納めるべき税金ではなく、設立から2期間経過せずに一定の条件を満たしている場合や2期間前の課税売上高が1千万円に満たない場合は消費税を納める必要がありません。納める必要がないからと言っても、支払いの際には消費税を払っている為、消費税分を上乗せして請求することは認められています。これを一般的には益税と呼ばれ、消費税を免除されている企業、個人事業主のメリットとなっています。
消費税は皆さんがご存知の通り令和元年10月1日から10%となっています。しかし、この10%は消費税と地方消費税に分かれることはご存知でしょうか。
まず、国税である消費税は7.8%で、地方消費税は2.2%となり、併せて10%となっています。しかし厳密には地方消費税は消費税の78分の22となっています。
また、コンビニ等で持ち帰って食べるような食品については8%ということも話題になりました。これに関しても消費税が6.24%、地方消費税がその78分の22である1.76%となり、合計で8%となります。
ちなみに、令和元年10月1日より前の消費税は8%でしたが、消費税6.3%、地方消費税は63分の17の1.7%で合計8%となっており、若干地方消費税の計算方法が異なるので注意が必要です。
先ほどお話した通り、消費税に一定の割合を掛けることで地方消費税が計算されます。現行の消費税法から考えると、消費税額の78分の22を地方消費税として計算します。単純に2.2%をかけてしまうと若干計算結果が異なるため、割合での計算は重要になってきます。
では、このように求められた消費税と地方消費税はどのように納めるのでしょうか。
個人の場合は1月から12月31日までの期間で計算された納税すべき消費税を3月末までに納めることになります。法人であれば、決算日から2か月以内に納めることになります。
ただし、直前の課税期間において年税額が48万円超400万円以下となった場合は中間申告を1回行い納めなければなりません。同様に400万円超4800万円以下となった場合は年3回、4800万円超となった場合は年11回の中間納付が必要です。
なお、地方消費税は通常の消費税と一緒に申告され、納付もまとめて同時に行います。納付は銀行口座からの振替納税か、インターネットから電子納税するか、銀行等で納付書を使って納税するか、クレジットカードで納付を行います。
また、消費税の納付時期や納付方法については、以下の記事で詳しく紹介しています。ぜひお役立てください。
<参考記事>
消費税には「中間納付」という仕組みがあります。こちらの仕組みについて詳しく解説していきます。
中間納付とは、申告する納税額が一定以上の場合に、前年の納税額を元に算出した今年の納税金額の一部を途中で納税させる制度のことです。企業は決算申告の際に税金の納付を行いますが、3月と9月を決算期とする企業が多いため、どうしても納付時期と金額が決算月に固まってしまいます。(正確には、決算月の2か月後に納付が発生) そこで、時期による国の財政収入の偏りを小さくするために、一定以上の税金を収める企業を対象に消費税の中間納付が行われます。
対象年度の直前の年度に48万円以上の消費税を課されていた場合、中間納付をする必要があります。また、課税金額によって納付回数も変わるので、しっかりと確認しておきましょう。
中間納付の計算方法は2通りあります。
こちらについては、以下で詳しく解説されていますので、ご参考になさってください。
法人税の中間(予定)税額の算出方法について|国税庁
2019年10月に、消費税及び地方消費税の課税税率が引き上げられました。新税率と前年度の課税金額を踏まえると、中間納付の納付回数は以下のようになります。
消費税や地方消費税は10%が原則であり、できれば払いたくない税金とも言えるでしょう。中小企業には、先ほどのように免税の特例がありますが、これ以外にも簡易課税という制度が存在します。
簡易課税とは、基準期間の課税売上高が5000万円以下の場合、適用したい年度の前日までに届け出を出すことによって選択できる制度となります。
簡易課税制度では、課税売上に対して一定の率を掛けることによってみなし仕入金額を決めることができます。通常消費税を支払うことが多い業種であればその率が高く、ほとんどが人件費の企業であったり非課税取引がほとんどである業種であったりする場合はみなし仕入率が低くなる傾向にあります。
卸売業は第1種事業と呼ばれ90%、小売業は第2種事業と呼ばれ80%、製造業は第3種事業と呼ばれ70%、その他の事業は第4種事業と呼ばれ60%、サービス業は第5種事業と呼ばれ50%、不動産業は第6種事業と呼ばれ40%のみなし仕入率が適用されます。
この簡易課税は必ず適用しなければならないわけではないところがポイントとなります。翌事業年度において多額の固定資産の取得を予定している場合など、消費税を多額に支払う予定がある企業の場合は原則課税を使ったほうがメリットのあることが多いです。一方で、そのような取引が無く、課税仕入がそれほどないことが見込まれる場合は簡易課税を選択したほうが有利な場合が多いです。
ただし、簡易課税は一度選択すると2年間は適用し続けなければならないため、翌事業年度が有利になるからといって、その翌年分も考えておかなければかえって損となる可能性もあります。また、簡易課税の場合は記帳も楽にすみますが、原則課税の場合は記帳が煩雑となり間違えやすい為、適用には十分に注意する必要があります。