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小売業における経理の仕事内容と会計処理の特徴

HUPRO 編集部
小売業における経理の仕事内容と会計処理の特徴

ものを仕入れて販売する「小売業」には、様々な業種や業態がありますが、何をどのように売るかによって経理の内容は異なります。事業の規模よりも、扱う商品数や種類によってかなり煩雑な作業が必要になるのが特徴です。本記事では、小売業における経理の仕事内容と会計処理について解説します。

小売業とは

小売業とは、製造業者であるメーカーや卸売業者である商社などから購入した商品を、一般の消費者に販売する事業のことを差します。

多種多様な商品を店頭に陳列して販売する、百貨店やスーパー、コンビニに加え、ドラッグストアや家電量販店、アパレルブティックといった専門店など、私たちの生活の身近にある店舗はその代表格ですが、近年は無店舗販売である通信販売・ネット販売も台頭してきており、扱う商品もさながら業態も多様化しているのが特徴です。

小売業における経理の特徴と他業種との違い

小売業における経理の特徴は、事業の規模よりも、扱う商品数や種類によってかなり煩雑な作業が必要になることです。また、日々取引や売買が発生するため、売上や仕入、買掛金などを毎日計上する必要があります。

他の業種では月末にまとめて処理することでも、小売業の経理では毎日の作業として行う必要があり、煩雑になりがちです。

小売業の経理の年収

小売業の平均年収は、400~500万円です。他の業種と比較すると、低い年収と言えるでしょう。一方、経理の平均年収は約450万円です。他の職種と比較すると低い傾向になります。

企業規模や年齢によって経理の年収は大きく異なりますが、小売業の経理は他の業種や職種と比較しても低い方だと言えるでしょう。

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小売業における経理の仕事内容

小売業における経理の仕事内容は、入出金の記録・税金計算・決算書作成といった業種にかかわらず発生する日次・月次・年次業務と、小売業の業務に関わる「仕入管理」「販売管理」「在庫管理」に分けられます。

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それぞれの業務について経理部門が関わるところがあるため、全体的な流れを把握するために、業務の流れを見ていきましょう。

仕入管理に関する処理

小売業における経理では、仕入に対する支払締め業務と支払業務を行います。

仕入担当者は、販売に必要な物品やサービスを出来る限り安く、必要なときに調達することが求められます。
「仕入管理」における業務の流れは以下の通りです。

1.見積依頼
商品代金がいくらになるかを先方に見積もり依頼します。
これは、その業者と初めて取引する場合や、今までの販売価格が変動する場合に必要です。

2.購買契約の締結
見積の価格で決済が降りたら、取引先と購入数や納期などの条件を取り決めて紅梅契約を結びます。

3.発注業務
仕入先へ発注します。

4.入庫・検収業務
仕入先から納品されたものについて、倉庫に入庫し、数や品質などを確認・検収します。

5.支払締め業務
仕入れ先からの請求代金の確認を行い、支払金額を確定ます。

6.支払業務
代金を支払います。

経理業務では一連の流れの中では、最後の段階である5.支払締め業務と、6.支払業務に携わることになります。

販売管理に関する処理

小売業における経理では、代金の回収に関する部分に関わることになります。

「販売管理」とは、商品を店舗で販売することに関する業務です。スーパーやコンビニなど現金販売が主な業態の場合は、代金の回収は販売するときに完了しますが、掛け販売や手形回収による販売を行っている場合は、売掛金の債権回収が必要なため、その管理も経理部門の仕事となることが多いです。売掛金は後でお金が受け取れる権利として「資産」の項目として計上します。

在庫管理に関する処理

小売業における経理では、決算業務において実地棚卸の報告内容から在庫数を確認し、会社の棚卸資産を把握したうえで財務諸表を作成する必要があります。

棚卸の在庫数量と単価をかけあわせることで、棚卸資産が算定できますが、取扱品種が多い場合は単価の計算が大変煩雑な作業になります。
そこで、異なる品目を利益率などの類似性によって分類して原価率を計算し、期末の商品の売価合計額に原価率を乗じて棚卸資産の評価額を決定する「売価還元法」という方法を用いることが一般的です。
なお、企業によっては資産管理を総務部門で行っていることもありますので、連携を取ったうえで処理を行う必要があります。

小売業では、仕入れ先から購入した商品を消費者に販売します。顧客からの注文や、店舗への発送などで出荷する場合は、仕入れた商品を適切に管理する必要があります。これが「在庫管理」です。

在庫管理に売れ残ってしまって発生するコストを抑えるために、不要な在庫を持たないように、かつ、必要な分はストックして置けるように管理する必要があります。
「在庫管理」には、次のような業務があります。

1.在庫受払業務
日常業務における商品の在庫の入庫、出庫を管理します。

2.実地棚卸業務
定期的に、在庫の実数量を把握します。

3.購買依頼業務
適切なタイミングで、仕入先に商品の購買依頼をおこないます。

小売業における経理特有の会計処理

売価還元法

売価還元法とは、異なる品目を利益率などの類似性によって分類して原価率を計算し、期末の商品の売価合計額に原価率を乗じて棚卸資産の評価額を決定する方法です。

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設備や店舗に関する会計処理

多店舗展開の場合は、店舗を展開したり、閉鎖したりといった業務が生じます。その際には、様々な会計処理が必要です。

・店舗の不動産における手続き(購入や賃貸)
・開店時は設備の修繕及び設備の購入、閉店時は設備の除却・廃棄
・設備の調達(リースや建設協力金、取引先からの受贈など)

ポイント制度の処理

購入金額や回数に応じてポイントを付与する制度は広く活用されていますが、この会計基準は現在のところまだ明確な基準が定まっていません。
そのため、自社の会計処理に従って処理することになります。

商品券などギフト券の処理

商品券やギフト券、クーポンなど、一種の有価証券に当たる金券の処理も必要です。発行時には前受金などの負債として、利用時には売上として会計処理をすることになります。

まとめ

小売業とひとくちにいっても、その業種や業態は多種多様です。そのため、業務の流れはある程度共通していても経理処理についてはそれぞれの会社で異なることが多くあります。
まずは自社の経理業務の流れと処理方法を踏まえて対応しましょう。知識として、まずは日商簿記3級レベルがあると、経理処理の流れをスムーズにつかみやすくなります。

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