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株式分割の手続き方法について、大まかな流れや注意点など解説!

HUPRO 編集部
株式分割の手続き方法について、大まかな流れや注意点など解説!

株式分割とは、株式を細分化することで発行済みの株式数を増やすことをいいます。分割することによって1株当たりの株価が安くなり、市場への流動性が増しますが、株価の変動により市場に混乱が起こる場合も。本記事では株式分割の手続き方法について詳しく説明します。

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株式分割の手続き

株式分割を行う場合は、取締役会設置会社は取締役会で、非設置会社は株主総会納通決議に手その旨を決定します。株式の併合とは違い、株主にとって株式が増加するだけですから悪影響は少ないため以下の事項を、取締役会設置会社にあっては、「取締役会の決議」で定めることも可能です。

株式分割については、以下の内容の決議が必要です。

・株式の分割により増加する株式の総数の、株式の分割前の発行済株式(種類株式発行会社にあっては、分割する株式の種類の発行済株式)の総数に対する割合
・株式分割の基準日
・株式分割の効力発生日
・分割する株式の種類(種類株式発行会社の場合)

なお、基準日を定めたときは、その2週間前までに基準日及び分割比率などを公告しなければなりません。官報の公告が掲載されるまでは申込みしてからから最低5~6営業日程を要します。

株式分割の登記

株式分割の登記については、以下の書類と登録免許税3万円が必要です。

・取締役会議事録または株主総会議事録・株主リスト
・登記委任状

なお、株式分割の結果として、株式数が増加するわけですから、「発行可能株式総数」の問題が生じる場合もあります。発行可能株式総数は、定款に必ず記載しなければならない事項ですので、もし、株式分割でこの数を超えてしまう場合は定款の変更が必要となります。

通常は、定款変更には株主総会決議が必要となるわけですが「株式分割」によって発行可能株式総数を増加させる場合は(発行可能株式総数に株式分割の「割合」を乗じた範囲で)株主総会の決議を「しない」で、定款の変更をすることが可能です(会社法184条)。

たとえば、「発行可能株式総数が2万株の会社で、既に発行済株式総数が1万5000株であった。」というケースを考えてみましょう。

この場合、「株式分割」によって、発行済株式総数を2倍にしようとすると、3万株となるため、発行可能株式総数の2万株を越えますから、定款変更が必要となり、株主総会の特別決議が必要となります。

しかし、2万株の2倍、4万株までの範囲で発行可能株式総数を増加させる場合には、取締役会の決議で足りるので、スピーディに行うことが可能です。

種類株式を分割する場合

ただし、種類株式を発行している場合には、この例外は利用できないので、注意が必要です。種類株式を発行している場合の「株式分割」では、株式の種類ごとに、分割の決議を行わなければなりません。この場合、株主総会において、どの種類の株式を分割するか、「分割する株式の種類」を決める必要があります。「株式分割」によって、ある種類の株式の株主に損害を及ぼすおそれがある場合には、その株式の「種類株式総会の特別決議」を得る必要があります。

株式分割に係る基準日に株主名簿に記載されている株主は、株式分割の効力発生日に、基準日に有する株式の数に分割割合を乗じて得た数の株式を取得することになります。会社は、基準日を定めたときは、基準日の2週間前までに基準日及び株主総会(又は取締役会の決議)で定めた株式分割の決定事項を公告しなければならない点には注意が必要です。

株式分割における注意点

株式分割を行うと、1株当たりの株価がその分下がります。そのため、株価が急落したかのように見えることがあります。最近では証券会社や新聞の個別銘柄チャートについては、分割を考慮して株貨を修正したチャートが掲載されるようになっていますが、株式分割によって株価の変動が起こる場合があるので、株価を確認する際には注意が必要です

また、決算と同時に、株式分割や業績見通し修正が発表されることもよくあります。株価が変動している場合は、株式分割による影響を考えてみることも重要です。
証券会社のWEBサイトなどから株式分割の予定銘柄をみることができますが、株式分割は意外にも多く行われています。
分割に至る背景を考えてみることで、企業における経営方針などをさぐることができるでしょう。

実務では、株式分割の割り当て株主確定日と実際に分割された株式が売買されるまでには、事務処理等の関係で2ヶ月程度のタイム・ラグがあります。そのため、分割の割り当て株主確定日(権利落ち)以降は分割後の株価で取引されるのに対して、株数が分割前の株数しかないために、投機的な取引が行わることがしばしば起こります。

その結果、一時的に株価が高騰する現象が発生することもあります。しかし、こうした高騰は、株数が増えると同時に下落傾向に転じるのが一般的なので、株価の上昇を意図する企業はやはり、業績拡大、財務健全性の確保など企業価値の増大の努力が不可欠です。

まとめ

株式分割とは株式を複数に分割することをいいます。分割されると自分の持ち分が減るのでは、と株主は思ってしまうかもしれませんが、持ち株数は均等に増加するので、持ち分比率の変動もなく、株主の利害を害することはなく、株主総会の決議で行われることがあります。

株式分割は、企業の業績には影響を与えないため、企業価値が変わることはありません。ただし、発行済み株式数の増加に伴って、1 株当たりの価値は希薄化することで、最低購入金額が低下することから、資金制約のある小口の投資家でも取引できるようになります。

株式分割を行うことによって高値の株は売却はしやすくなったり、違う市場へ指定替えをおこなう際に有利になったりといったメリットがあります。

しかし、株式分割によって一時的に株価が急落したかのように見えてしまうので、株の動きを見る際は注意が必要です。

株式分割は資本政策の1つです。この資本政策についてまとめた記事がこちらになります。
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