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どう違うの?不適切会計と不正会計の違い

HUPRO 編集部
どう違うの?不適切会計と不正会計の違い

「不適切会計」「不正会計」、東芝問題により一時世間を騒がせていたこの言葉。経理に携わる者としては聞き逃すことのできない言葉に、ニュースを見る手が思わず止まってしまった方も多いのではないでしょうか。しかしこの言葉の違い、皆さんどこまで理解できていますか?今回はその違いについて解説していきます。

不適切会計とは?

不適切会計は、監査・保証実務委員会によって下記の通り定義されています。

不適切な会計処理:意図的であるか否かにかかわらず、財務諸表作成時に入手可能な情報を使用しなかったことによる、又はこれを誤用したことによる誤り(監査・保証実務委員会研究報告第25号より)

不適切会計はその言葉が示す範囲が広い

会計処理について何か適切ではない処理があった場合は、「不適切会計」という言葉を使うことになります。その範囲は、後に解説する不正会計に比べて広いものとなっています。

不適切会計には、最新であると報告されていた売上データが実は古いものであったことに後で気づいたケースや、報告書作成後に海外の子会社から訂正されたデータが届いたケースなど、財務諸表作成時に作成者が利用している情報が誤りであることに気づかなかった・知らなかった場合が例として考えられます。

同時に、売上データを報告した側も、海外の子会社側もそのデータが最新ではない・間違っていることに「意図がなかった」場合が、監査・保証実務委員会による「意図的であるか否かにかかわらず」の「否か」のケースに該当します。

一方、前半の「意図的である」というケースを上記の例えに置き換えると、売上データを報告した側が意志を持って最新のデータを隠していた場合や、子会社のデータが間違っていることを理解した上で修正せず財務諸表を作成した場合が考えられます。

不正会計とは?

一方、不正会計の「不正」は、監査基準委員会によって下記の通り定義されています。

不正・・・不当又は違法な利益を得るために他者を欺く行為を伴う、経営者、取締役等、監査役等、従業員又は第三者による意図的な行為(監査基準委員会報告書240より)

つまり、不当または違法な利益を得るために行われた会計処理が不正会計となります。例えば、売上の架空計上や費用の不正な支出などが考えられます。不正会計を行う主体は会計に関与できる者全てが該当します。経営者や取締役、監査役といった役員ばかりではなく、経理担当者や一般の従業員なども当てはまります。営業部長が売上を水増しして報告したり、経理担当者が利益を不正着服したり、そうして不当・違法な行為が行われて作り上げられた数字を元にして行われた会計処理が不正会計となるのです。

不適切会計と不正会計の違い

不適切会計と不正会計の違いは、一言で言ってしまうと「意図的」であるかどうかです。

不適切会計の場合は「意図的であるか否かにかかわらず」とあるため、意図的でも意図的でなくとも会計処理に誤りがあれば該当します。
一方、不正会計の場合は「意図的な」とあるため、会計処理の誤りが意図的である場合のみ不正会計となり、意図的でなかった場合は該当しないことになります。
会計処理の誤りに人の悪意が介在し、意志が働いた上で誤った情報を用いて財務諸表を作成する。そうして他者を欺くことになった場合、不正会計となるのです。

会計に携わる者が心しておかなければならないこと

不適切会計、不正会計、経理に携わる者としてはどちらも起こさない・起こらないよう気をつける必要があります。特に、意図的に不当な処理を行う不正会計は、株主や投資家、取引先を始めるとするステークホルダーにまで影響が及ぶことが想定されます。誤った財務諸表を判断材料として行われた投資などで不利益を被るステークホルダーが出た場合、違法であるとして民事罰や刑事事件に発展することもあり得るのです。

会計処理を正しく行うことは、経営・会計に関わる者にとっては重要な責務です。自らが不適切会計を起こさないことはもちろん大事ですが、それと同じくらい周囲に不適切会計を「起こさせない」ことも重要となってきます。コーポレートガバナンスやコンプライアンスをしっかりと意識し、社内規程やルールを正しく敷いていくことも会計に携わる者には必要となってくるのです。不適切会計を自ら起こさない・周囲に起こさせない環境を作り、いつでも適切な会計処理ができるよう心がけましょう。

この記事を書いたライター

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