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企業結合会計は難しい?会計処理の考え方を公認会計士が解説!

公認会計士 大国光大
企業結合会計は難しい?会計処理の考え方を公認会計士が解説!

企業の買収や合併など最近は企業再編が大規模に行われています。企業再編は通常の会計基準のみならず、企業結合会計という特殊な会計処理が色々なところで出てきます。企業結合会計はとっつきにくい基準と言えますが、考え方さえしっかりしていれば怖くはありません。そこで今回は企業結合について現役公認会計士が解説します。

企業結合会計の種類

企業結合というのは、2つ以上の企業が1つの会計単位に統合されることを言います。しかし、広い意味では1つの会計単位である企業が2つ以上の会計単位になることも含んでいます。

具体的には、合併、株式交換、株式移転、株式取得、事業譲渡、会社分割等の企業がくっついたり分かれたりすることを総じて企業結合と言います。
また、ジョイントベンチャーと呼ばれる共同支配についても企業結合の一環とされています。

企業結合会計の概要

企業結合会計は、企業結合に関する会計基準、事業分離等に関する会計基準、企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針の三つの基準や実務指針によって構成されています。

基本的には企業結合会計基準と事業分離会計基準にエッセンスは記載されているのですが、実務上参照されるのは両者の実務指針となります。実務指針では100程度の事例や仕訳例が記載されており、全てを読み込もうとするのはとても労力がいります。

余談ですが、公認会計士試験の修了試験でこの辺りの具体的な会計処理を問われることがあり、難関試験の公認会計士試験を突破した人でさえ目をそむけたくなるボリュームとなります。

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企業結合会計では具体的にどのような処理を行うか

詳しい内容については会計基準や実務指針にかかれているので、会計処理のエッセンスのみお伝えします。企業結合会計において重要な要素は、その企業結合が①取得であるか②持分の継続であるかというところです。

原則的に共同支配企業もしくは共通支配下の取引でない限り企業結合は取得とみなされることになります。取得というのは新たに先方の経営権を握るということであり、最も簡単な例としては先方の株式を100%持つことが挙げられます。

取得とされた企業結合会計においては、全ての資産と負債を時価で引継ぎ、その差額と時価との差額はのれん(ブランドや経営権のようなもの)として処理され、20年以内での償却計算が行われます。

ちなみに、某健康系の上場会社はこの資産と負債の差額よりも下回る金額で買収を繰り返したため、負ののれん発生益という利益を常に計上することで話題になりました。

また、100%子会社を合併したり、議決権を他社と50%ずつ保有しあったりするときなどは経営権を「新たに」取得したと考えられないため、特に時価評価することなく処理が行われます。

企業結合会計では具体的にどのような処理を行うか

企業結合会計ではのれんに注意

先ほどお話した通り、買収企業の純資産を購入価額が上回る場合はのれんが計上され、そののれんは20年間以内で均等償却されていきます。

ここで、のれんというものが最近はクローズアップされることが多いので解説します。のれんが20年以内で償却される理由は、買収額と純資産の差額はその企業がもつ超過収益力(=ブランド等)と考えられる為、その超過収益力は将来にわたって効果があるとみなされることによります。

しかし、買収後に赤字が続くようになると収益力がないとみなされて、のれんは一括で減損損失を計上しなければならなくなります。この減損損失を計上するべきかどうかは企業の将来予測にかかっているため、将来予測の精度が高くないと監査法人からの指摘事項となってしまいます。

また、最近はPPA(Purchase Price Allocation:取得原価の配分)と呼ばれるのれんの配分が流行しています。これは、のれんの中には研究開発費やソフトウェア等他の科目に計上できるものがあるとすれば、その科目に算入しなければならないという制度です。

のれんは20年以内の償却ですが、例えばソフトウェアであれば5年の償却となるため、より費用化が早く行われることとなります。このPPAを専門としている公認会計士等もいるくらいですので、将来のキャリアの一つとして考えてみても良いかもしれません。

ちなみに、純資産金額よりも買収金額が低い場合は負ののれんといって一括で収益計上されることになります。この点ある会社で話題になっていましたが、現在は負ののれんが発生するというのは異例のことであり、内容をよく吟味しなさいと基準にかかれていますので、簡単に負ののれんが計上されることも少なくなりました。

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企業結合会計は怖くない!?

今までのお話を聞くと難しそうでとっつきづらい基準と思われたことでしょう。しかし、企業結合会計は公認会計士ですら全ての内容を把握している人は少ないです。

というのも、事例が多すぎて基準を一から読んでいる時間が無く、ほとんど事例が発生してから実務指針を見ている為です。つまり、皆さんも企業結合会計と聞いて毛嫌いするのではなく、必要になったら基準を読む、というスタンスで全く問題ないと思っておくと良いと思います。

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この記事を書いたライター

公認会計士、税理士。監査法人東海会計社代表社員、税理士法人クレサス代表社員。大学時代に公認会計士旧二次試験に合格後大手監査法人に就職し、27歳で独立開業。国際会計と株式公開支援が専門。セミナーや大学で講師を務めたり書籍の出版も行っている。
カテゴリ:コラム・学び
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