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サービス業における経理担当者の役割

公認会計士 大国光大
サービス業における経理担当者の役割

「サービス業」と一口に言ってもその業種は幅広いですね。一般的には無形のサービスを提供する業種や業態を差します。理・美容業や、税理士・弁護士の専門家によるアドバイスなども実はサービス業に含まれるのです。そんなサービス業における経理業務は、何か業界における特徴的なものがあるのでしょうか?本記事で詳しく現役公認会計士が解説します。

サービス業とは

モノではなく効用や満足などを提供するのがサービス業で、第三次産業とも呼ばれます。
主な業種としては以下のようなものがあげられます。

・専門サービス業…法律事務所や税理士事務所、芸術家などの専門家が提供するサービス
・教育・学習支援サービス:学習塾やピアノ教室など教育や学習に関するサービス
・技術サービス業…,獣医学的サービス,土木建築に関する設計や相談のサービス,商品検査,計量証明及び写真制作などの技術的なサービスを提供
・生活関連サービス業…美容師や銭湯、冠婚葬祭など生活に関連した職種
・娯楽業…映画館、テーマパークといったレジャーに関する施設などで娯楽を提供する職種
・複合サービス業…郵便局、介護事業など複数のサービスを提供する職種
・その他のサービス業…政治団体、宗教施設など他に分類できないもの

サービス業は、その場で商品であるサービスを提供するので、生産と消費が同時に起こるのが特徴です。
また、顧客それぞれのニーズに合わせてサービスが変わっていくことや、新しい業態が生まれていく市場であるということも、その裾野が広がっていく理由。毎年のように痒い所に手が届くような新しいサービスが生まれ、そして古いものが消えていっています。

例えば、美容院ひとつとっても、新しいカットやカラー、ヘアアレンジなど、全く同じものが提供されることはなく、流行によってもはやりすたりがあり、さらにマッサージ、ヘッドスパやネイルなどお客様のニーズに合わせて新たなサービスが付け加わっていることも珍しくありません。

サービス業の経理担当が気を付けたいこと

サービス業の経理担当は、経理専属者として入る場合もあれば、業務をこなしながら経理も行う店主など様々です。

基本的には、毎営業日の売上伝票に取引を記帳し、毎月の締めを行う作業を行っていきます。月次の締めでは、その月の伝票を改めてチェックし、誤りがあれば適宜修正をしていくと、1年の決算時に業務の手戻りを防ぐことができます。

サービス業の売り上げ計上は、基本的には「商品(サービス)を提供した時」に発生します。例えば美容室では、その日のカットやカラーが終了した会計時です。

しかし、塾や専門サービスについては、申し込みがあった時点でサービスを受け取るという意思表示があったという前提で料金を受け取っていますので、そこで売り上げが発生します。
自分が「サービス業」といっても、どのようなサービスを提供する業種なのかというところで、売上発生時点の考え方が変わるので気を付けてください。

サービス業の原価とは?

商品はサービスという目に見えないものであるサービス業。そのため、基本的に物品の在庫はなく、仕入れ原価や在庫がないように思えます。

しかしながら、自社のみでサービスを提供する場合、会計上の概念とは別に様々なコストが発生します。会計理論上では、売上に対する直接的なコストを売上原価とみなして処理する場合があります。サービス業の売上に相当するものは「役務収益」で、売上原価に相当するものを「役務原価」と呼ばれます。

例えば、美容院であれば、美容師の人件費・ドライヤーなどの備品、シャンプー台や椅子などの償却資産、シャンプーやトリートメント、カラー剤などサービスに必要な経費が多岐にわたります。
人材教育であれば、講師への講演料や、会場の使用料金、教材となる資料や本などの経費がかかります。

この時に原価計算の考え方として、直接的な経費・間接的な経費の考え方を用いる必要が出てくるのです。また、原価がないといっても、物販もあわせて行っている場合は、その仕入れに対して売上原価としての処理が必要となります。

原価については、コストを抑えるのが良いと思われていますが、サービス業というのは、それを受ける場所も含めて商品ともいえるので、イメージ戦略上あまりにも設備をみすぼらしくするわけにもいきません。

また、サービス業の最大のコストは人件費です。しかし優秀なスタッフがあってこそ、顧客が満足するような質の高いサービスが提供できるため、人件費についてあまり切り詰めるのは得策とは言えません。人件費は必ずかかるものですから、その生産性をいかに高めるかが、利益を高めるための大きなポイントです。

従来の商品を仕入れて売り上げるという内容にとどまらないサービス業の簿記については、日商簿記検定2~3級でも出題されることがあるので、基本的な考え方を身に着けたい場合はぜひ取得をおすすめします。

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この記事を書いたライター

公認会計士、税理士。監査法人東海会計社代表社員、税理士法人クレサス代表社員。大学時代に公認会計士旧二次試験に合格後大手監査法人に就職し、27歳で独立開業。国際会計と株式公開支援が専門。セミナーや大学で講師を務めたり書籍の出版も行っている。
カテゴリ:コラム・学び

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