映画のタイトルとしても使われた「ディスクロージャー」ですが、ビジネスにおいてもよく使われる言葉です。では、ビジネス用語としてのディスクロージャーとは、どのような意味を持つ言葉なのでしょうか。今回は、ビジネスで使われるディスクロージャーの意味について解説していきます。
ディスクロージャーは、「disclosure」という英語がもとになっています。この英語のdisclosureを直訳すると「発表、暴露、打ち明け話」という意味であり、打ち消しの意味をもつnonをつけて「nondisclosure」という単語も存在します。そして、この場合は、秘密保持という意味となります。
ビジネス用語のディスクロージャーは、「情報公開」「企業内容開示」という意味をもちます。そして主に企業が、投資家や出資者、取引先といった利害関係者に、その企業の経営実績や活動状況、財務状況を開示することを指します。
ちなみに、政府などの行政機関が、行政が正しく行われているかどうかを把握できるように情報を開示することもディスクロージャーといいます。
企業のディスクロージャーには、法律によって定められたものと、自主的に行われるものの2つがあります。ひとつずつみていきましょう。
企業がディスクロージャーをする時期や内容については、主に証券取引所規則や商法、証券取引法によって決まっています。具体的には、決算短信の公表、有価証券報告書の公開、会社の業績に大きな影響を与えるようなことについては、適切なタイミングにより発表をすることが定められているのです。
法律に定められていないことであっても、企業が自主的に進めるディスクロージャーもあります。これはIR(投資家向けの広報活動investor relations)と呼ばれています。
具体的には、年次報告書や月次データなどの資料を作成し公開したり、企業活動の詳細をホームページに載せたり、決算や事業に関する説明会を開催するといったことが挙げられます。IRは、もともとは投資家や出資者を対象にしたもので、企業の経営状況を明らかにして投資や出資をさらに促す目的があったとされています。
しかし最近においては、法律や社会的な見解とされる「コンプライアンス」、企業が環境に配慮した取り組みを行う「環境対応」、社会の発展のために企業が負う「企業の社会的責任」に応えるかたちで、消費者や地域住民を意識したIRも活発になっている傾向が見られます。こういった要望は今後もより高まると考えられており、企業の自主的ディスクロージャーであるIRもより一層重視されていくことでしょう。
投資家や出資者を主に対象とされるディスクロージャーですが、このディスクロージャーにはデメリットも存在します。まずデメリットとして挙げられることは、コストがかかることです。情報管理や情報開示に関わるためには多くの労力が必要となり、人員のコストもかかります。次に、ディスクロージャーにより開示をした情報によって不利益を被るリスクもあるでしょう。
例えば企業の業績があまり良くなかったり、事業の撤退などがあったりしたような場合には、企業にとってはマイナスの情報を開示することになるのです。その結果、投資家や出資者が離れてしまうことも考えられますし、ときには報道によって情報が拡散したり、訴訟を起こされるようなケースもあります。しかし、投資家や出資者の信頼を得るためには企業の透明さが大変重要です。つまり、ディスクロージャーを避ける企業は、信頼できない企業だとみなされてしまう可能性もあるのです。
ディスクロージャーという言葉が使われている用語は数多くあります。それらの意味をまとめて解説します。
ディスクロージャー制度とは、情報公開を義務づける制度のことです。例えば有価証券が募集や売出しをされる際には、企業内容開示をすることが金融商品取引法によって義務付けられています。
ディスクロージャーポリシーとは、情報開示に関わる企業方針のことをいいます。このディスクロージャーポリシーは、企業のホームページなどでも公開されており、閲覧する事が可能です。
ディスクロージャー誌とは、経営内容が開示された冊子のことです。ディスクロージャーよりも狭い意味を指し、投資企業活動全般を判断するために必要な情報が記載されています。
ビジネス用語としてのディスクロージャーとは、企業が投資家や出資者、取引先などに対して経営状況を公開することを意味します。法律によって公開が義務づけられている部分もありますが、企業の任意で公開されているものもあります。企業内容を公開し、透明性を高めることにより、投資家や出資者、取引先や消費者は安心して企業を支援することができるようになります。そのため、非常に重要なものと考えられているのです。