皆さんは消費税についてどのくらいご存じでしょうか。消費税を考える上で大事な論点に「内税と外税」というものがあります。事業を営む方はご存じかもしれませんが、初めて聞いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回はこの「内税と外税」について説明していきます。
消費税に2種類の方法があると聞くとピンとくる方も多いでしょう。消費税を請求代金に入れて請求する税込み価格と消費税を別で扱う税抜き価格がありますね。
200円の野菜を買うときに(消費税10%とする)、「220円(税込価格)」と表示しているのは、税込表示ですね。
一方で、「200円(消費税込み220円)」、「200円(税抜価格)」のように本体価格をメインに表示して税額は別である表示をしている場合は税抜表示となります。
税込方法と税抜方法が内税と外税に該当します。つまり、税込表示によるものが内税、税抜方法によるものが外税となります。
読み方は「内税」が「うちぜい」と読み、「外税」は「そとぜい」と読みます。
また、近頃では税率や店舗情報等をあらかじめレジに設定しておくPOSレジシステムが広く使われており、このシステム上で設定を内税と外税にあらかじめ設定しておくことが可能です。
商品の値段表示方法には内税と外税の2種類の表示方法があることを確認しましたが、実は内税が法律で義務付けられています。国税庁のHP(2019年10月現在)によると、「消費者に対して、商品の販売、役務の提供などを行う場合、いわゆる小売段階の価格表示をするときには総額表示が義務付けられます。事業者間での取引は総額表示義務の対象とはなりません。」と記されています。
見方を変えると、原則「商品の値段について特に説明がない場合は税込みの価格であるとみなす」という旨のもので、消費者に課税有無がはっきりわかる・混同させないような表示をすることを要求しています。事業者間で車やシステムを販売した場合はこの法律は適用されません。その他、表示媒体についても丁寧に解説されていますので、より詳細に知りたい方は下記ホームページをご参考ください。国税庁HP
しかし、よく考えてみるとスーパーや家具屋さんに行くと外税での表示を見かけることがありますよね。これは、2013年10月1日から2021年3月31日までの間は特例として、税抜価格(本体価格)を表示してもよいという特例が施行されたことによります。つまり、この一定期間だけは例外として税抜価格を使用してもよいということです。
しかし、原則が税込表示の例外が「税抜価格を使用する」ことを認めることであり税抜価格のみの表示はしてはいけません。税抜価格であることがわかるように「表示価格は税抜です」「+税」のように税抜であることを認識させるような表示方法でなければいけません。
実際に内税や外税といった言葉が使われるのは値段を請求する側の事業者や企業側の方が圧倒的に多いでしょう。この内税や外税による会計処理方法を考える時や、税率が2019年10月から8%から10%に増税されたときに外税の方が商品ラベルを変更する手間が省けるだろうと戦略を立てる時といった実務的な場面が多いです。
また、こうした商品表示に関する法律は一般的に厳しく、厚生労働省や消費者庁等の管轄に当たりますが肉類であれば出産地や遺伝子組み換え作物であるかの表示義務・表示方法など厳格な法律が存在します。この点、内税や外税は値段表示によるルールというものであり、実際の営業現場ではこうしたルールも存在することを押さえておくと経理の方でもより実務的な視野が広がるでしょう。
増税のタイミングや特例が認められる期間において、企業や事業主の販売側は内税か外税かどちらの方法をするのが得なのでしょうか。これは競合他社同士の動きや業界ごとで違うようです。2014年の5%から8%の増税当時はパチンコ業界が内税か外税かで大きく議論されましたが大手同士が協調して内税方針を貫いたというニュースが当時ありました。また、一部の企業では「店頭表示では内税方式をとり、チラシでは特例期間だけ外税方式をとる」など、どちらがいいかはその会社の戦略や都合により影響される部分が多く客観的にどちらがいいかは言えないようです。
内税と外税についてみてきましたがいかがでしょうか。内税と外税という単語の意味自体は税込みか税抜による表示方法ですが、内税外税の考え方が重要となる背景や場面についてイメージを持っていただければと思います。今後もこうした税額の表示方法は増税などのイベントの都度重要になってくるので経理や小売関係の仕事をされる方はぜひ注目しておくとよいでしょう。