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静態分析と動態分析の使い方! 現役の公認会計士が解説!

公認会計士 大国光大
静態分析と動態分析の使い方! 現役の公認会計士が解説!

企業の分析方法は非常に多くのものがあり、どのような分析を用いるかによってその企業が優良であるかそうでないかが異なる結果となります。

様々な分析方法を分類するのに、静態分析、動態分析というものがあります。

今回は、静態分析、動態分析についてお話するとともにその使い方について現役公認会計士が解説します。

静態分析、動態分析とは

【静態分析】は主に一時点での貸借対照表に着目をした分析を言います。「静か」という文字が使われているように、動きで見るのではなくストックで分析をする手法を言います。一般的に、企業の安全性等を分析するのに用いられる分析手法です。

【動態分析】というのは損益計算書やキャッシュフロー計算書などのフローに着目した分析を言います。「動く」という文字が使われているように企業の動きに着目した、効率性等を分析する手法となっています。

静態分析で使われる指標は?

静態分析は主に貸借対照表を利用して企業の安全性を分析する方法とお話しました。

代表的な静態分析としては、自己資本比率が挙げられるでしょう。

自己資本比率は、資産と負債の差額である自己資本を総資産で割って計算されます。この比率が高ければ高いほど企業は自己資本の力で会社を経営しており、安全であると言えます。60%ほど自己資本があると優良企業と言えますし、40%の自己資本比率であっても中小企業であれば優良企業に入るのではないでしょうか。

これ以外にも、流動比率や当座比率というものがあります。流動比率は流動資産を流動負債で割って計算されたものであり、現在運転資金としてどの程度余裕があるかを分析する指標となります。100%を超えた場合は流動資産の方が多いことがわかるため、通常の資金決済では会社の運転資金は底をつかないことが言えるでしょう。

また、当座比率というのは流動資産の代わりに当座資産と呼ばれるさらに流動性の高い資産を用いて計算されます。当座比率は流動比率よりも厳しい指標として会社の安全性を測るのに用いられます。

動態分析で使われる指標は?

動態分析として代表的なものは、売上高利益率でしょう。

例えば粗利率というのは売上高から売上原価を引いた売上総利益を売上高で割って求められる指標となります。企業が物品を販売した時に残る利益を表しています。

経常利益率という経常利益を売上高で割って計算されたものもあります。経常利益率は、会社の通常の活動によってどれくらい利益が効率的に獲得できるかを示す指標となります。

これまでは損益を損益で割って計算されたものでしたが、損益と資産を組み合わせて分析する指標も静態分析に分類されます。

例えば、資本利益率というように、利益を資本で割って計算されたものがあります。これは、資本をどれくらい効率的に利用して利益を獲得しているかを示す指標となります。

このように、動態分析はどれだけ効率的に活動をしているかを示す指標として使われます。

どのような時に静態分析や動態分析を行うか

では、投資家目線以外ではどのような時に静態分析や動態分析を行うのでしょうか。

銀行は静態分析を使う

例えば、銀行等の債権者は静態分析を主に利用します。これは、自身が企業に投入した資金が最終的に返ってくるかどうかを判断するため、企業が安全かどうかを知ることが重要だからです。

企業が他社を買収する時は動態分析を使う

企業が他社を買収するべきかどうかを判断する際には主に動態分析を利用します

買収の目的は、その買収先がどれだけ今後利益を計上して自社に貢献するかを判断したいため、対象企業の成長性や今までの損益の比率を知りたい傾向にあるためです。

特に買収の際は将来の分析を行いたいため、過去の数値に基づく動態分析をするよりも、将来の損益計画に基づいて動態分析を行うことが多いです。よって、分析ももちろん大事ですがその作成された将来計画が妥当かを分析することが重要ですので注意が必要です。

動態分析・静態分析をする際に気を付けること

動態分析も静態分析も企業の効率性や安全性を考えるにはとても有用であるというお話はしました。しかし、実際に企業を分析する際には気を付けるべき点があります。

動態分析・静態分析は共に企業を比較するのにはとても有用ですが、そもそも比べる相手が同じ会計処理をして同じ開示を行っているかどうかを考えるべきです。

例えば、固定資産の圧縮記帳というものがあり、固定資産について、補助金を用いて購入した場合にはその補助金収入を資産から直接減額できる方法があります。

しかし、直接減額する方式以外にも準備金方式という税務上調整するだけの方式もあります。前者の方では固定資産が圧縮されている為自己資本比率が高くなりますし、また将来の減価償却費が小さくなりますが一時点での収益は比較企業と比べて低下してしまいます。

よって、分析をする場合はその前提となる会計処理について決算書を用いてよく吟味しておく必要があるので、注意が必要です。

この記事を書いたライター

公認会計士、税理士。監査法人東海会計社代表社員、税理士法人クレサス代表社員。大学時代に公認会計士旧二次試験に合格後大手監査法人に就職し、27歳で独立開業。国際会計と株式公開支援が専門。セミナーや大学で講師を務めたり書籍の出版も行っている。
カテゴリ:コラム・学び
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