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「裏金」とは?言葉の意味、具体的な作り方や罰則を解説

HUPRO 編集部
「裏金」とは?言葉の意味、具体的な作り方や罰則を解説

「裏金」という言葉はニュースでよく耳にしますが、実際はどのような手口で作られ、発覚するとどのような罰則を受けるのでしょうか。裏金のような不祥事への関与を防げるよう、今回は裏金という言葉が表す意味や、具体的な裏金の作り方、裏金作りで受ける罰則などについて解説していきます。

裏金とは

「裏金」とは、辞書では「取引などが上手くいくように支払う、表に出せないお金」といった意味で載っており、法律用語ではないため明確な定義はされていませんが、文脈に応じて次のような意味で使い分けられていることが多いです。

・帳簿や会計をごまかし、密かに集めるお金
・会社の帳簿には計上されていないお金
・現実の所得から、過少申告した所得を引いて残ったお金
・正しいルートに則って支出されていないお金
・予算通りに使ったと偽装しているが、実際は違う用途で使った公金
・法律などに基づかずに操作された公金 など

共通するのは、帳簿をごまかしてお金を違う目的に使ったり自分のものにしたりといった意味になります。

裏金の作り方

実際にニュースなどで話題になった裏金の作り方の仕組みを紹介します。

取引先の口座に多めに振り込み、現金で返金させる

取引先と共謀して、相手先の口座に実際の取引より多めの金額を振り込み、差額を現金など足のつかない形で返してもらって自分のものにするやり方です。

たとえば、工事元請けのA社が下請けのB社と、下請け代金3,500万円で合意します。A社の担当者はB社に4,000万円振り込み、B社はA社の担当者に、裏金500万円を現金で手渡すといった手順になります。

顧客に多めに振り込ませて、返金と称して仲間の口座に振り込む

商品やサービスの料金を多めに計上して、顧客に料金を振り込ませます。顧客に対してはその料金が正規料金であるとだましたまま、社内の処理としては料金を間違って計上したとし、返金のために振込を行います。

ただし、振込先の口座は顧客ではなく、共謀した仲間が作った会社の口座です。仲間には手数料として何割かを支払い、残りの金額を自らが運営するダミーの団体の口座に振り込ませ、そこを経由して自らの個人的な口座に移していました。

旅費を水増しするカラ出張

出張旅費は非課税であるのに加え、出張で発生する宿泊費や交通費、日当などは、社内の規定に即していれば実費精算でなくてもよいとされているため、経費の水増しが比較的容易です。そのため、架空の出張をでっち上げて費用を申請する「カラ出張」は裏金作りの手法として有名です。

金券を購入して費用計上した後に現金化する

印紙や切手、商品券などの金券を購入し、交際費などの費用として計上します。その後で、金券屋にて現金化するといった手口は、シンプルなためよく使われています。

業者から商品を買ったと偽装して業者に現金を預ける

業者から商品を買ったとして現金を支払い(実際は買っていない)、業者に現金を一時的に預ける「預け」という手口や、請求書とは違う商品を納入させて差額を手に入れる「差し替え」という手口があります。

さらに、預けた現金を使って業者に買わせた商品券などの金券を受け取って現金化するケースもあります。

裏金は使途秘匿金になる

元請けなどからリベートなどの裏金を要求された場合、支払先を隠して支払う形になるため、経費としては認められない「使途秘匿金」として帳簿に計上されます。同じく経費として認められないものとして「使途不明金」がありますが、ふたつの違いは次の点です。

・使途秘匿金:支払先を明らかにできない支払
・使途不明金:支払先はわかっているが、支払った内容が経費として認められない

裏金が発覚すると使途秘匿金として計上せざるを得なくなり、40%の法人税と地方税などの大きな負担を負うはめになる点に注意しましょう。

裏金作りで受ける罰則

裏金は、税務調査や内部告発、役所の場合は住民監査請求や情報公開請求などで発覚します。法人での裏金が発覚した場合、追徴課税として法人税などへの課税や、申告漏れに対する罰則として最も重く35〜40%を課税される重加算税などの支払が必要です。

また、状況によっては業務上横領罪や特別背任罪などで刑事事件などで立件を受けてしまうケースもあります。その場合、当人や関係者の逮捕だけではなく、取引先も関係者と疑われて捜査され、会社自体も報道などにより信頼性が大きく毀損されます。

まとめ

「裏金」という言葉には、帳簿をごまかしてお金を違う目的に使うなどの意味があり、裏金作りの方法は多種多様です。しかし、裏金作りの大半は税務調査で発覚し、高額な追徴課税で苦しむ結末を迎えています。

不正な裏金作りには関わらないように、知ってしまった場合も内部告発などの手段で通報するように心がけましょう。

この記事を書いたライター

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