企業内弁護士の働き方|CCCマーケティング株式会社 小川 彩 様

キャリア
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HUPRO 編集部2018.12.26

ここ10年で約10倍の人数に増えている企業内弁護士。
平均で6,000時間以上の勉強時間が必要と言われ、学生時代から長い時間をかけて取得された「弁護士資格」を企業内の法務部で活かす働き方とはどういったものなのか。
弁護士事務所勤務を経て、CCC マーケティング株式会社で企業内弁護士としてご活躍されている小川 彩さんにお話を伺いました。

目次

弁護士を目指されたきっかけは実家の建築事務所??

- 今までのキャリアについて教えてください。

大学卒業後、法科大学院に進みました。司法試験に合格し、司法修習を経て、訴訟対応がメインの弁護士事務所に弁護士として就職しまして、大阪の支所にて一年間勤務していました。

結婚を機に東京に戻り転職し、CCC マーケティング株式会社の法務部にて勤務しています。

- 弁護士を目指されたきっかけはどういったものだったのでしょうか?

もとをたどれば、実家が建築事務所だったことが影響しているかと思います。
もともと、なんとなく大学は法学部に進んだのですが、そのタイミングで実家の周囲の方々から「建築周りは訴訟が多いのに専門家が少なくて困ってる」という声を多く聞きました。

手に職をつけたいという想いはあったので、法科大学院に行ってみようと勉強を始めたのが弁護士を目指したきっかけになります。

司法試験合格後、やはり建築紛争に興味があったことから建築系の訴訟対応を多く扱っている弁護士事務所を最初の就職先として選択しました。

- 訴訟対応がメイン…なかなか想像がつかないですが、弁護士事務所時代はどういったお仕事をされていましたか?

イメージがつきにくいですよね(笑)
本当に紛争化した後の収集がつかなくなった案件を取り扱うことが多く、もうこじれにこじれている中に、入っていき話をしていました。こちらからするとどちらかが一方的に悪いという案件はやっぱり少なくてお互いにそれなりに言い分があるというものが多かったので、なんというか、一方の代理人に立ちながらも、「なんでこんなことになってしまったのか」と思うことはありました。
事務所の先輩弁護士の方々からいろんなことを吸収しましたし、実務面でも訴訟についてはしっかりと経験を積ませていただき事務所や組織にはとても感謝しています。しかし、どうしても本心が顔に出てしまうというか、なかなかちょっと訴訟対応に向いていないなという思いはありました。

結婚を機に興味のあった企業内弁護士にキャリアチェンジ

- ご転職を決断されるきっかけはどういったものでしたか?

結婚し主人が東京にいるということは大きかったです。
また、先述の通り訴訟対応より向いている仕事があるのではないかという想いがあったので、これを機にもともと興味があった企業内弁護士として転職してみようという流れになりました。

- もともと興味があったんですね。

はい。
私は2013年末から就職して働き始めた世代なのですが、既に企業内弁護士は一つの選択肢として認知されており、友人にも企業内弁護士志望の方が結構多くいました。
大手通信会社などにも、既に企業内弁護士がいらっしゃって、積極的に採用活動されている会社も多かったので、はじめから企業内弁護士を志していた友人も多かったですね。私の主人も弁護士なのですが、はじめから企業内弁護士を志望し、一般企業の法務部に就職しました。

また、弁護士事務所で訴訟対応をする中で感じた課題感も企業内弁護士を目指す動機の一つになりました。対応している案件の多くは収集がつかなくなってしまったものだったのですが、その前段階のお互いに合理的に判断できる時点でどうにかできなかったのかな?という想いはありました。
その点、企業内弁護士ですと、そもそものビジネスの実施段階から予防的な措置がとれたり、トラブルが顕在化する前に対処することもできるのではと思い、もっと会社の中に入ってやっていった方が面白いんじゃないかなと感じ、企業内で働きたいと思うようになりました。

後は結婚して、子供も欲しいと思っていたので。
全ての弁護士事務所がそうではないですが、弁護士事務所ではどうしても、育児と家事の両立が難しい場面も多いと思い、企業内弁護士の方が家庭と両立できそうだなというところはありました。

転職活動そして CCC マーケティングへ

- 転職活動はどういった流れで行ないましたか?

一般的な転職サイトから、法務を専門にしている転職サイトまで、いくつか登録して検討しました。エージェントさんから連絡があり、個別に案件が送られて来る中で、興味がある会社を受けていくという流れでした。最終的には CCC マーケティングと老舗の部品メーカー企業の二社で迷いました。

- CCC マーケティングに入社されたご経緯を教えてください

転職活動を通して、環境的にオープンで法務の人が柔和で働きやすいところ、事業が面白そうなところの二点が入りたい企業の基準でした。
その中で、CCC マーケティングと、部品メーカー企業と迷っていました。

CCC マーケティングに入社した理由としては、社内に弁護士の先輩がいて、事前に不安を解消してもらったことが大きかったです。人事や法務の方の配慮もあって、 入る前から社内のことをしっかり知ることができました。
また、自分のスキルアップを考えたときに、一つの事業をやっている企業よりも、多角的に事業をやっている企業の方がキャリアに選択肢を持たせられるのではないかと。もちろん、蔦屋書店に通っていたし、建築に興味があったのもあったのですが。。笑

弁護士という肩書きを超えて、事業をつくっていく一員として働く

- 企業内弁護士として働き始めて実務面でどういうところが変わりましたか?

ビジネススキームから社内の人と一緒になって考えていける点でしょうか。
弁護士事務所のときは本当にスポットスポットで相談されて、結果その案件がどうなったのかよくわからないままだったのですが、企業の中にいると、例えば「一つのゴールとして何かリリースが出て成果としてこういう風になりました」というものを見ることができますし、事業としてリリースされた後に継続運営していくにあたって、法務の観点から改善点を提示することもできたりします。そういう意味では本当に中に入って長い目線で一緒に事業をつくっていけるというのは大きく違うのかなと思います。

私の場合、前の事務所がどちらかといえば企業法務とは少し離れた訴訟メインだったので、「どうしたら紛争を終えられるか」という点に主眼を置いており、ビジネス的な判断を意識することはあまりなかったのですが、今はやっぱり一般的なビジネスの感覚も必要になってくるので、視野を広く持つことができていることが楽しいと感じます。

企業に入って、業務の必要に応じて新しい分野を学べるため、成長できている実感もあります。 CCC マーケティングは多角的に事業を行っているため、事業上、様々な分野の法律の知識が必要になってきます。このように、事業に応じた分野を勉強し、企業法務の専門家になれることが一つの働きがいになっています。

- 「弁護士」の資格が活きるシーンはありますか?

個人的には、企業内弁護士の方が「弁護士としての威厳」的なものを感じるシーンは少ないです(笑)
企業の中だと、あまり会社の中で「私、弁護士なんです。」とは言っていないですし、言うシーンは少ないんですが、一般的に弁護士はきちんと法律の素養があるというところは前提になっているので、社内外の方に説明する際に説得力が増しているかもしれないとは思います。

- 企業内弁護士特有の業務上難しい点はありますか?

会社の事業を理解していないと、全ての判断が適切にできないことです。
法律的には OK でも、ビジネス判断としていいのか?みたいな議論が出てくることも多いです。
その問題意識を持っていないと、判断や提案が適切にできないので、そもそもの事業・ビジネスの理解が必要になります。この点は、今も苦労しています(笑)

定時がある!弁護士でも多様な働き方を実現できる

- 働き方の点では、どういった変化がありましたか?

定時があることに驚きました(笑)
弁護士事務所時代は、定時や残業代という考え方がなかったので、定時後残業代が出るのはびっくり。
定時があって、今は時短勤務でさらに時間が短いので、決められた時間の中でいかに効率的に業務をできるかというのは意識しています。
「仕事は時間内に終わらせて育児家事に残りの時間を使う」という生活のルーティーンができていて、家事・育児と仕事をうまく両立できています。

弁護士事務所時代は、基本的に朝の8時始業で、夜は早くても22時くらいまで事務所にいたので、家に帰ったら寝るだけの生活でした。土日もどちらかは出勤していましたね。
当時は大阪と東京で離れて暮らしていましたが、仮にそのまま結婚して共に生活するとなると自分のことでいっぱいいっぱいでしょうし、主人のために家事をして…みたいなことは多分できなかっただろうなと思います。

弁護士の中には、忙しくて家にいる時間も少なく、自分の子供から「おじさん」と呼ばれてしまったと言っている方も話に聞きます。仕事場が家だと思われているというか。。弁護士事務所には前時代的なところがある事務所もあるので、結婚や出産を歓迎しにくい雰囲気もあると感じます。やはり周りの企業内弁護士の方は女性の方が多い印象かな。

もちろん、弁護士事務所でも育児・出産後もうまく働いている方もいますが、依頼者との関係で期日をコントロールできる場合などに限られるため、私は会社で働く方があっているかなと思っています。特に、今は時短勤務の他、週に一度は在宅勤務をさせていただいており CCC マーケティングの皆さんには理解ある環境を整えていただいて感謝しています。

- これまでとは働く環境の雰囲気の違いもありましたか?

そうですね。
やはり、訴訟というのは都度法律相談がスポットで来ることもあるのですが、月に一度のペースでの出廷と、その為の依頼者との打ち合わせ以外は基本的に閉ざされた執務室でひたすら作業をしていることが多くて、、

少し閉塞感があったのかなという気はしますね。

企業にくると事業の現場の方も近くにいらっしゃいますし、色々な部署が周りにあったりして結構オープンな空間になっているので、現場(弁護士事務所でいうと依頼者)の方にすぐになんでも聞けて、全然関係ない世間話とかで盛り上がれるというのはとても仕事がやりやすいです。

母親以外の「仕事人」としての一面を持ち続けるために…

- 今後の人生の目標はありますか?

難しいですね…笑
今2歳の子供がおり、育児と仕事の両立はずっと課題にはなると思いますが、仕事は長く続けていきたいです。子離れした時も、自分の役割として母親以外の一面もきちんと持っていたいなと思っています。

- キャリアについての目標を教えてください。

やはり、長く法務として・弁護士として働きたいので、今後はより専門性を高めていく必要があると思っています。一般的な企業法務・法律相談だけでなく「この分野なら小川」という分野をつくっていきたいです。

最後に、企業内弁護士のキャリアを考える方へ

- 改めて、企業内弁護士にはどんな人が向いてると思いますか?

なかなか難しいですが…
柔軟性がある人・ビジネスに理解/興味がある人はとても向いていると感じます。
一方で、法律の知識があって優秀な人でも、柔軟性がないと、企業内弁護士だと現場との衝突が起こることもあります。
現場との折り合いが悪くなるという話も聞くので、柔軟性のある弁護士が重宝される環境かと思います。

- 最後に、企業内弁護士としてのキャリアを考えている方に向けて一言お願いします。

企業に入るとあくまで一人の社員なので、弁護士先生としてどーんと座っているわけではなく、組織の一担当としてフラットに働くことになります。しかし、その分きちんと事業を理解して長期的にビジネスへ貢献できる点など魅力的なことも多いです。

最近では、企業内弁護士だけでなく官公庁などの省庁に入るという選択肢も増えてきていて、これから弁護士にとって可能性は広がっていくかと思います。

そんな中で「企業内弁護士」は一つの選択肢として、とてもやりがいのある仕事なので、興味のある方はチャレンジしてみてください。

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