経理業務をしていると、費用や損金といったワードの意味をきちんと理解して使い分ける必要があります。また、経費の発生が多い会社では、そもそも経理に限らず経理以外の方でも、費用と経費というワードがために使い分けられていても、その中身に差があるのかぴんとこないということも多いでしょう。今回はそういったこんがらがりやすい、費用、経費、損金のワードについてその内容と用語の使われ方について解説していきます。
費用は会計的な観点で用いられる用語です。広くいうと会社が支出したすべてのコストが費用です。反対に、会社が稼いだものは広く収益といえます。会社ではこの収益から費用を引いたものが利益という訳です。そのため費用に含まれるものは広範にわたり、事業を行う上での材料費や、人件費・労務費などの人に係る費用や、色々と文房具などを買った際に発生する事務用品費など、色々とあります。会計上の処理としては、そのほかに減価償却費のように、固定資産の経年劣化によって発生する資産価値の減少なども、費用として計上され、特に損益計算書の数値に最終的に反映されます。費用は、会計を行っている会社における経済的価値の減少を伴うものすべてを指し、会社経営の観点でいうと、費用を如何に抑制出来るのかが、利益額に直結します。
損金は税務的な観点によるもので、費用のうち、税務上のコストとして計上されるものです。
損金の場合、特に問題になるのは費用として支払は伴うけど、損金として認められないケースです。下記が例になります。
交際費等に区分されるものは、交際費、接待費などで、会社がその得意先や仕入先その他事業に関係のある者に対して、接待や贈答等に類する行為となります。基本的には社外の方の接待などが既述の通り該当します。交際費については、営業担当者が取引先の接待をする場合、営業担当者としては、イメージとしては費用だと思います。
一方で、経理の立場では、その接待が交際費に該当する場合、税務上の損金に取れず、会社としては法人税等の申告の際、不利になります。具体的には、取引先と営業の方が接待で食事に行く場合、一人あたりの食事代が税抜5,000円までだと、全額を費用として取れますが、5,000円を超える金額相当分については交際費として損金に取れないので、経理担当の方はそこの税務上の取扱と、費用と損金の違いをきちんと認識して社内の方に周知する必要があります。
寄付金も交際費と同様に、支出した際に費用とはなるものの、税務上の損金として計上されるかどうかについては、金額の上限があります。
上記の例のように、費用とはなるものの、損金とはならない、損金不算入という場合はいくつかあり、費用ではあるが損金とはならない、という会話が経理などでは行われたりします。これが費用と損金の違いです。
役員報酬も、きちんとした報酬テーブルなどに沿って、就任時や再任時に月額などの定められた金額で支払っている場合は損金として計上出来ますが、イレギュラーな形などで役員報酬を支払っていると損金に取れません。この辺りもよく理解しておく必要があります。
関連記事:損金不算入とは?知らないと損する税金の話
最後に経費ですが、こちらも費用と同様に会計上の用語となります。経費は会社の経営上発生する費用全般を指します。そういう意味では費用にとても近いです。ただ、一般的な使われ方としては、「これ、経費に出来ますか?」と経理の人が社内の人から聞かれた場合、会社のコストとして精算出来ますか?という質問の意図になりますので、感覚的なものとして、交際費や物品の購入費用、交通費(タクシーを使う時とか)を主に指すことが多く、商品の仕入れ費用のような、原価に使われることはほとんどない用語です。
そのため、一般的には経費の場合、社員の立替経費のように、細々した販売費及び一般管理費の区分のコストを指す用語として使われます。ただ、経費という用語の範囲内に原価が入ってはおかしいということはないので、一般的には費用ほどの広い用いられ方はされないですが、経費も幅広い範囲の、会社のコストを指すのは共通です。
いかがでしたでしょうか。費用、損金、経費と、同じような会社のコストであっても、事業全体のコストであったり、税務上認識出来るコストであったり、社内の方が使う会社の必要コストとしてであったりと、実際には使われる場面や、その内容は異なります。費用ですと経理や経営者が用語といては使うことが多く、損金だと税務業務に係る方、経費だと社員全般が使います。一般的にはそこまで違いを理解しておく必要は無いですが、もし経理などの職種につく場合には、この辺りが曖昧だと後々トラブルになったり、伝達するべき注意点などを伝え漏れるといった事態にもなりますので、この機会に是非理解しておきたいですね。