「こんなはずじゃなかった・・・」そう感じてやめていく人が多い部署、経営企画。出世コースのど真ん中であり見た目はピカピカの花形部署でありながら、不満爆発・退職者が続出する経営企画にはいったい何が起きているのでしょうか?今回は経営企画の役割について解説していきます。
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会社の組織は基本的には機能別に整理されています。一般的には、営業、購買(仕入)、人事、経理、法務、総務、情報システムなどで構成されています。製造業であればこれに製造や設計が加わるでしょうし、銀行であれば査定や審査が加わります。
上場企業であれば内部監査があるでしょうし、大企業であれば商品やサービスラインごとに事業部があり、その事業部が機能別組織になっていると思います。
このように、機能を表す言葉がそのまま組織の名前になっていますので、組織の名前を見れば何をやっているかすぐにわかります。
それでは、経営企画とは本来どういう機能を持った組織でしょうか?
その名前から察するに、「会社経営の企画立案をしていく」ことがまず挙げられます。この機能は、他のどの組織にもないものだと考えられます。もちろん、個々の顧客や取引先に対する企画立案については営業や購買の役割でしょう。しかし、会社全体となると、上に挙げたどの組織にもその役割はなさそうですね。強いてあげれば社長自身の役割でしょう。
このように会社経営の企画立案が他の部署にはない経営企画本来の役割だと考えられます。そしてそれは企画立案にとどまらず、実行後の検証や経営陣に対するフィードバックなど、会社全体のPDCAを担うことがあるべき役割です。
現実は違います。まず、会社経営の企画立案自体は、社長をはじめとする経営陣と役割が被ります。ということは、経営企画って必要なの?という議論になります。
つまり経営企画はその本来の役割である会社経営の企画立案という役割が経営陣に奪われ、代わりによく言われる事務局、部署間調整役というめんどうで経営陣がやりたがらない役割に変わります。
経営企画は本来の役割を奪われた一方で、他の組織は奪われることなくその役割は明確なままです。他の組織の役割が明確であることが、「こっちの仕事じゃない!そっちでやってください!」と言わせる材料を与えることになります。
経営企画の役割が曖昧になった分、その隙間につけ込まれて本来とはかけ離れた役割が降ってくることになります。社内イベントの企画や会議資料の印刷製本など、誰もやりたがらない役割を組織間で押しつけあうセクショナリズムが起こります。そして本来の役割を喪失した経営企画には他組織の圧力を跳ね返す力は残されていません。
元々、会社経営に関する司令塔であり会社の方針を全社に向けて発信する推進役ですが、役割の喪失とセクショナリズムの結果、全社に向けて発信という役割だけが残ります。どういう訳か、組織を横断する連絡は経営企画の役割と決め付けられるようになり、結果、経営企画は組織の長の複雑な人間関係を調整する「人間関係調整課」として生まれ変わります。
経営企画の本来の役割が抽象的で曖昧です。それに比べて他の組織の役割は明確ですよね。だから、どの組織がやるべきかわからないことは、まずは経営企画がやるといった短絡的な考えにつながりやすいと思います。他の組織にとっては考えなくて済むからそうすることが楽なんです。
例えば、親会社がホールディングスであり経営企画は親会社の組織であるとします。そうすると事業を行うのは子会社ということになりますが、子会社に事業戦略立案機能がある場合は、親会社にある経営企画の役割は子会社に奪われることになります。
経営企画はコンサル会社と競合します。「そうそう!こんなことがやりたい!」と思っていても、あっさりコンサルに取られます。コンサル主導で仕事が進んでいき、結局自分のやりたいことは全てコンサルに奪われ、高額の報酬支払手続きだけを自分でやることになります。
面接では、「実際の役割を踏まえて組織に名前をつけるとしたらどんな名前にしますか?」と聞いてみるのもいいかもしれません。事務局課やなんでも課など、そういったニュアンスの回答であればその会社の経営企画は本来の役割を持っていないと考えた方がいいかもしれませんね。
こんなことが経営企画の役割なの??と思っているあなた。いわゆる雑務を徐々に総務へ振っていくことが大事です。総務も役割が曖昧な組織です。仕事ができそうってだけで経営企画の負担が増えているところも大きいので、雑務はガンガン総務へ振りましょう。
会社によって役割に大きく違いが出て、その役割によって身に付くスキルやノウハウに違いが出る部署が経営企画です。経営企画に興味のある方は、あるべき経営企画で働きたいと思う方が多いと思います。
そのためには、ここに書いてあることを参考にして転職時にエージェントに質問をしたり、面接官に鋭い質問をしてみるなど、その経営企画が「どっちなのか」をしっかり把握する必要があります。