士業・管理部門のキャリアコラムが集う場所|HUPRO MAGAZINE
士業・管理部門のキャリアコラムが集う場所

カテゴリ

家賃支援給付金の概要・申請方法|持続化給付金との比較

税理士 宮川真一
家賃支援給付金の概要・申請方法!持続化給付金との比較

家賃支援給付金の受付が開始しました。先行する持続化給付金と比べまして、家賃支援給付金は添付書類が多く、申請不備も散見されるようです。筆者が実際に家賃支援給付金と持続化給付金を申請した経験をもとに、今回は、家賃支援給付金の概要と申請方法について、持続化給付金と比較しながら解説していきます。

家賃支援給付金の概要

1. 家賃支援給付金の要件

大前提となる家賃支援給付金の売上要件は、次のいずれかとなります。

2020年5月から12月までの間で、どれかの月の売上が前年同月比で50%以上減少していること。
または
2020年5月から12月までの間で連続する3ヶ月の売上の合計が、前年の同じ連続する3ヶ月と比べて30%以上減少していること。

持続化給付金をすでに受給している方であれば、家賃支援給付金も受給できないか検討する余地がでてきます。また、3ヶ月合計で30%以上減少でも可能ですので、持続化給付金の要件を満たさなかった場合でも家賃支援給付金は要件を満たすことがあります。
なお、給付金の名称は「家賃支援給付金」ですが、家賃だけでなく地代でもかまいません。大まかに要件をつかんで該当する可能性がありそうであれば、その他詳細につきましては、経済産業省の家賃支援給付金のHPにある申請要領を確認する必要があります。

《参考》家賃支援給付金|経済産業省

また、同HPにある「よくあるご質問」にも多くの回答が載っていますので、そこで多くの疑問は解消されるかと思います。

2. 家賃支援給付金の給付金額

法人であれば、月額賃料75万円までは、1ヶ月当りの家賃の3分の2を6ヶ月分となります。
個人であれば、月額賃料37万5000円までは、1ヶ月当りの家賃の3分の2を6ヶ月分となります。

例)家賃15万円の場合
 15万円 × 2/3 × 6ヶ月 = 60万円

家賃支援給付金の申請方法

家賃支援給付金の申請方法は、持続化給付金と同様、専用サイトにてオンラインで行います。昨年の申告書控えや今年の売上の明細を添付するだけでなく、家賃の契約書や実際に家賃を支払った証明書を3ヶ月分添付するなど、添付書類は持続化給付金より多くなります。
また、持続化給付金との違いは、不正受給に対する誓約書です。サイトでレ点チェックするだけでなく、代表者が自筆署名した誓約書を添付しなければなりませんので、事前に準備することが必要です。
家賃支援給付金のサイトに必要事項を入力して書類を添付して申請を完了するまで、筆者の場合ですと2時間ほどかかりました。持続化給付金ですと1時間ほどでしたので、やはり、手間は多くかかるかと思います。

②家賃支援給付金の給付金額

注意する点

1. 賃貸借契約書について

賃貸借契約を書面で交わしていない場合、別途サイト内にある「賃貸借契約等証明書」を新たに作成し、添付します。
また、最初に賃貸借契約をして、のち、自動更新で特に書面を交わしていない場合も、新たに「賃貸借等証明書」を作成して、添付する必要があります。
賃貸借契約等証明書につきましては、賃貸人の自筆署名が必要となりますので、事前に準備することが必要です。書式につきましては、家賃支援給付金のサイトに掲載されています。

2. 社宅について

社宅の賃料も家賃支援給付金の対象となるのでしょうか。
経済産業省のHPのよくあるご質問の回答は、以下のとおりとなっています。

A法人が社宅・寮に用いる物件を賃貸借契約等に基づいて借り上げて従業員を住まわせ、当該物件の賃料を当該法人の確定申告等で地代・家賃として計上しているのであれば、原則として給付対象となります。ただし、賃貸借契約に基づいて従業員に転貸している場合は給付の対象外となります。

通常、給与課税を防ぐ意味もあり、社宅に住む役員・従業員からはいくらかの家賃を徴収しているはずです。固定資産税の課税標準額をもとにした僅少な額の家賃を徴収しているだけであれば、家賃支援給付金の対象になりますので、ご注意ください。

3. 経理方法について

家賃支援給付金を受給した場合、持続化給付金と同様、雑収入となります。雑収入の計上時期は、給付決定の通知があった日か実際に入金があった日のいずれか早い日となります。あくまでも売上が50%減少したことは要件の1つに過ぎませんので、売上が50%減少した月に未収入金で計上するといったことにはなりません。

4. お知らせ通知について

家賃支援給付金の支給が決定されますと、申請者に給付決定のお知らせが届きます。さらに、賃貸人にもお知らせが届きます。大家さんには居住用として借りているのに実際は事務所として使用している場合などは注意が必要です。

まとめ

家賃支援給付金の受給は1回きりです。
申請期限は2021年1月となっていますが、書類不備などで再申請が必要となることもありますので、可能性がありそうな方は早めに申請できるか確認された方が良いかと思います。
税理士事務所に勤めている方は、クライアントへの情報提供として、該当しそうなクライアントのチェックをされてみてはいかがでしょうか。

この記事を書いたライター

税理士、CFP®(ファイナンシャルプランナー)。大学2年より税理士試験を開始し、4年かけて合格。現在は、事業会社の財務経理部門で働きつつ、税理士法人みらいサクセスパートナーズの代表として、税務・会計を基盤として事業を展開している。
カテゴリ:コラム・学び

おすすめの記事