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エンジェル税制の税制改正(令和2年度)で何が変わった?

HUPRO 編集部
エンジェル税制の税制改正(令和2年度)で何が変わった?

1997年の税制改正によって創設されたエンジェル税制。これまでも何度か税制改正が行われてきましたが、令和2年の税制改正でも、エンジェル税制の改正が行われました。この記事では、そんな令和2年の税制改正について解説します。

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令和2年度税制改正で何が変わった?

令和2年度税制改正では、エンジェル税制の要件等が緩和されました。主な改正内容は以下のとおりです。

① 個人投資家がベンチャー企業に対して投資を行う場合の、「ベンチャー企業要件」が改正されたことによって、設立後5年未満の企業であっても優遇措置Aを利用することができるようになりました。
② ベンチャー企業が都道府県に行う申請書類の一部が削減されました。従来は申請書類を提出する際に必須であった定款・事業報告書・組織図・法人税確定申告書別表二、の提出が、税制改正によって原則不要となっています。
③ 経済産業大臣認定制度が拡充したことによって、認定事業者として新たに一定の要件を満たした「株式投資型クラウドファンディング事業者(=少額電子募集取扱業者)」が加わることになりました。加えて、優遇措置Aについても、認定事業者が確認書を発行することが可能となりました。

次節では、エンジェル税制に係る令和2年の税制改正について詳しく解説していきます。

エンジェル税制の対象となる企業が拡大されます。

個人投資家が、創業間もない一定の要件を充たす企業(ベンチャー企業)に対して投資を行った場合、投資を行った年に所得税の優遇措置(エンジェル税制)を受けることができます。優遇措置Aと優遇措置Bという2つの措置が設けられており、個人投資家は要件を充たしているいずれかの優遇措置を選択することが可能です。

エンジェル税制の対象となる企業が拡大されます

出典:エンジェル税制のご案内|経済産業省
 
令和2年の税制改正によって、従来、優遇措置Aにおける創業間もない企業の定義が「3年未満」となっていたところ「5年未満」に改正されます。これによって、エンジェル税制の適用対象となる企業が拡大し、個人投資家の投資対象となる企業の選択肢がより多くなります。

「5年未満」に改正

出典:エンジェル税制のご案内|経済産業省

また、対象企業要件の見直しも行われ、改正前には、上の表のような設立後3年未満のベンチャー企業がエンジェル税制の適用対象となっていましたが、令和2年度改正で設立後3年以上5年未満のベンチャー企業のうち、新たに以下の要件を充たすものもエンジェル税制の適用対象企業に加わります

(ア) 前事業年度までの営業活動によるキャッシュ・フローが赤字であること。
(イ) 試験研究費等割合が5%を超えること。
(ウ) 払込みにより株式会社の株式の取得をする者と投資契約を締結する株式会社であること。

エンジェル税制申請手続きの簡素化

従来、個人投資家がエンジェル税制を利用するためには多くの申請書類を提出する必要がありました。しかし、令和2年度の改正によって、これまで提出が必須であった定款・事業報告書・組織図・法人税確定申告書別表二の提出が原則不要となり、手続きが大幅に簡素化されました。

経済産業大臣認定制度の拡充

エンジェル税制を利用する場合、まず、ベンチャー企業が都道府県へエンジェル税制適用対象企業であること、投資が行われたことなどについて確認申請を行わなければなりません。申請を受けた都道府県は、申請書を確認したのち、ベンチャー企業に対して確認書を交付します。

この確認書を個人投資家(エンジェル投資家)にベンチャー企業が渡し、個人投資家が確定申告の際にこの確認書と合わせて必要な書類を提出することで、エンジェル税制を利用することができるようになります。

令和2年度の税制改正によって、従来は都道府県のみが行うことを認められていた確認事務が、経済産業大臣の認定を受けたファンドやクラウドファンディング事業者でも行えるようになります。

ただし、経済産業大臣の認定を受けたファンドやクラウドファンディング事業者のエンジェル税制申請手続は、一般のエンジェル税制手続よりも審査に時間を要するのが一般的です。こうした事業者にどれだけベンチャー企業の成長性や安全性を審査する目を持っているかどうかはわからないことから、都道府県に確認した方が早い場合もあります。

なお、従来より、優遇措置Bの確認申請については、経済産業大臣の認定を受けたファンドやクラウドファンディング事業者が確認書を発行することができるようになっていましたが、令和2年度の改正によって優遇措置Aでも同じように確認書を発行することができるようになっただけで、優遇措置Bでは変わりありません。

まとめ

エンジェル税制を利用するための要件は厳格に定められています。そのため、ベンチャー企業側も個人投資家側も煩雑な手続きが必要であることが、エンジェル税制利用の妨げとなっていました。しかし、令和2年度の改正によってエンジェル税制の要件や必要な手続きが緩和・簡略化されたことで、エンジェル税制はより一層利用しやすくなっています。

カテゴリ:コラム・学び

この記事を書いたライター

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