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進んでいますか?社内のパワーハラスメント対策

社会保険労務士 小西千里
進んでいますか?社内のパワーハラスメント対策

2020年6月「ハラスメント規制法(改正労働施策総合推進法)」が施行、パワーハラスメント防止措置は企業の義務とされました。従業員が安心して働けるハラスメントのない職場づくりは従業員定着や企業のイメージ向上にもつながります。
今回は、企業に求められる社内のパワーハラスメント対策について、社会保険労務士が解説していきます。

パワーハラスメント防止 事業主の責務

ハラスメント規制法では「事業主の責務」だとして次のことが明記されています。

・職場におけるパワーハラスメントを行ってはならないことなどハラスメント問題に対する従業員の関心と理解を深めること
・従業員が他の従業員に対する言動に注意するよう研修を実施するなどの配慮を行うこと
・事業主や法人の役員自身がハラスメント問題に関する関心と理解を深め、従業員に対する言動に注意を払うこと

「従業員」とは、正社員、契約社員などの契約の種別を問わず、派遣社員やパート、アルバイトもすべて含みます。
また、取引先の従業員や就活生に対してもパワーハラスメントを行わない措置が求められたこともハラスメント規制法の特徴です。

パワーハラスメント防止 5つの義務

ハラスメント規制法では、「事業主の義務」に5つが挙げられています。

・事業主の方針などを明確化し、周知・啓発すること
・相談に応じて、適切に対応するために必要な体制をつくること
・パワーハラスメントが起こってしまったら、迅速かつ適切に対応すること
・相談者やハラスメント行為者などのプライバシーを保護すること
・相談したことを理由に不利益な取り扱いをしないこと

では、具体的に会社は何をすればよいのでしょうか。次に具体策を考えます。

パワーハラスメント防止 5つの具体策

会社がとるべきパワーハラスメント防止の5つの具体策を順に解説します。

トップのメッセージを発信する

経営トップ自らの言葉で「ハラスメントのない職場環境づくりを進める」ことを宣言し、周知することが有効です。
ハラスメント行為が従業員の尊厳を傷つけることやハラスメント行為を見逃すと職場環境が悪化することを例示し、ハラスメント行為を決して許さないというトップの姿勢を示しましょう。トップの姿勢を示し会社ぐるみで取り組みましょう。

パワーハラスメント行為に対する社内ルールを決める

パワーハラスメント行為が社内で行われた場合、規程に基づき厳正に対処するというルールを定めます。就業規則を改正する、パワーハラスメント防止規定を設けるなどの方法があります。

どのような言動がパワーハラスメントに該当するかをはっきりさせ、実際に事象が起こった場合を想定した運用しやすいルール作りをしましょう。

社内のパワーハラスメントの実態を把握する

パワーハラスメントは見えないところで起こっている可能性があります。また、社内で日常的に行われていることをパワーハラスメントだと感じる従業員がいるかもしれません。

ハラスメント対策を効果的に進めるためにアンケート調査で実態を把握します。多くの従業員が回答し、正確な実態を知るためには匿名での実施がよいでしょう。また、調査をして終わりではなく、社内でパワーハラスメントを話題にしやすくなるよう結果は公表しましょう。

社内のパワーハラスメントの実態を把握する

パワーハラスメントの社内研修を実施する

パワーハラスメント防止に社内研修は欠かせません。どのような行為がパワーハラスメントに該当し、なぜ、パワーハラスメントの行為をしてはいけないのか、社内で共通して理解するためには研修が最も効果的です。
外部の講師による研修でなくても、動画などを活用して社内講師による研修を実施してもよいでしょう。
1回の時間は短くても定期的に繰り返して研修を実施することが重要です。

出典: 明るい職場応援団|厚生労働省
オンライン研修講座や動画などが用意されています。

ハラスメント相談窓口の設置

従業員が相談しやすい窓口をつくり、できるだけ早い段階で気軽に相談できる環境を作りましょう。
パワーハラスメントの被害により従業員が病気になってしまった、退職してしまったなどの事象が起こってからでは解決は非常に難しくなります。
早い段階で相談し適切に対処すればパワーハラスメント行為を止められる可能性があるのです。

また、「会社に相談をしても何もしてくれなかった」「(被害を受けた)自分にも悪いところがあると言われた」など、相談対応が問題をより悪化させる事例は少なくありません。

社内に相談員を置く場合は、相談員に相談対応の研修を受講させることや外部のカウンセラーや相談窓口と提携することを検討しましょう。

出典:21世紀職業財団|公益財団法人
ハラスメント相談担当者研修などを行っています。全国各地での開催のほかオンラインセミナーも開催しています。

まとめ あなたの会社でできること

企業に求められる社内のパワーハラスメント対策について解説しました。あなたの会社でできる対策をイメージいただけましたでしょうか。
会社の業種や規模、組織の風土によって様々な現状があると思われます。会社全体で組織的に取り組むことが難しいと考える担当者もあるでしょう。ハラスメント防止のルールや体制づくりのアドバイスをする社会保険労務士やハラスメントコンサルタントといった専門家の力を借りることもできます。

「今、社内でハラスメント事案が起こったらどうなるか」事前に想定するところから対策を始められてはいかがでしょうか。

参考: 厚生労働省明るい職場応援団
オンライン研修講座のほか、ハラスメント対策マニュアルやハラスメントの裁判例・他社の取組事例が掲載されています。

この記事を書いたライター

自治体職員として25年間勤務後、京都にて社会保険労務士事務所を開業。就業規則などのルール作りと併せて社員研修の実施を提案している。特にハラスメント対策や働き方改革では、会社の現状により異なる「課題感に寄り添った提案」が好評である。
カテゴリ:コラム・学び

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